猛暑と鶏

暑い日が続いています。私は例年になく体調が良く働けています。重労働は息子に任せて、食品加工(茄子やキュウリの漬け物です、糠、塩、油、醤油、等々を使い、手を変え、味を変えて夏野菜を楽しんでいます)や卵パックなどが私の仕事です。
 昔は「暑い夏」は7月下旬の梅雨明け後から日中の日が短くなるお盆までの3週間ほどでした。32−3℃の猛暑も嬉しく、「カーッ」と照りつける太陽さんにも愛おしささえ感じられました。
 ところが最近の夏は恥ずかしさや、遠慮を忘れたようです。7月の初旬から学校の運動会シーズンの9月の中旬まで(最近の酷暑で、市内の一部の学校は今年から運動会を5月に変更しました)、だらだらと7−80日も猛暑が続きます。そして気温が35度を超す酷暑も当たり前となり、鶏にとっても厳しい最近の夏です。
 鶏は羽に覆われていて暑さには弱い生き物です。気温が34−5℃になりますとケージ飼育などでは暑さで死亡する鶏もでるようです。我が家のような平飼いの鶏では暑さで死亡することは稀です。この地の今までの最高気温(37,5℃)でも1羽の鶏も死にませんでした。鶏は暑いときは砂に潜ったり(砂浴び、鶏の風呂です)、日陰で静かにしています。酷暑の日中は鶏の喧嘩も、雄雌の営みも、鳴き声を上げることもなく、養鶏場は静寂に包まれています。
 暑さでは死なない鶏ですが、鶏も人間と同じく食欲は落ちます。正確に言いますと、鶏の夏の食欲は最低気温に影響されます。最低気温が25℃を超すようになりますと、餌の食べる量が極端に落ちます。餌の食いは通常の7−8割まで低下します。夏バテです。
 鶏の食欲が落ちますと、はじめに卵が痩せてきます。卵が小さく、細くなります。新鮮な卵でも白身の流れやすくなり「力の弱い」(生命力の弱い)卵が増えてきます。
 猛暑の始まりで餌は食べなくなっても鶏も生き物の習性で自分の身を削って(体重を落とす)卵は産み続けます。猛暑も1週間から10日ほど続きますと、体力のない鶏から産卵を休み始めます。
このような鶏の夏バテを出来るだけ軽減するために、養鶏場では色々と夏用の餌の配合を工夫します。
食べる量が少なくなっても摂取栄養価は変わらないようにと「高カロリー、高タンパク」の餌にしたり、逆に食べる餌の量を増やそうと「低カロリー、高タンパク」の餌にしたり、餌に刺激を与えようと、ニンニクや唐辛子を入れたりもします。餌に水分を含ませて食べやすいようにもします。最善は、猛暑の前に鶏の体力を作っておくことですが「言うは易く、行うは難し」です。
 鶏とにわとり屋を悩ます猛暑ですが、僅かですが良いこともあります。
 雛を悩ますコクシジューム症などが収まり、ワクモも暑さで卵を産めなくなるためか極端に少なくなります。