卵の価格の高騰

昨年の7月頃から、卵の価格が平年に比べて2−3割ほど高騰しています。
元々「卵は物価の優等生」などと言われて、企業養鶏が再生産できないほどの低価格でスーパーなどで売られてきましたので、「卵の価格が高騰」と言うより正常化されつつあると言う方が正しい面もあります。
 「卵の価格が正常化」され適正な利益が出たなら、鶏の福祉(鶏も生き物です)や、養鶏企業で働く人達の労働条件の改善に繋げて欲しいのですが、今回はこの問題ではありません。あくまでも卵の価格高騰についてです。
 当初は「低卵価が続き養鶏場の経営が難しくなったために、計画的に鶏の羽数を減らした効果(結果)、夏の猛暑」と農水省から説明されていました。
鶏は産まれてから約5ヶ月ほどで卵を産み始めます。企業養鶏の多くは、育雛企業で4ヶ月ほど育てられた大雛を購入して、1ヶ月後には卵を出荷します。
 卵の価格が高騰したら早ければ1ヶ月後、遅くとも数ヶ月後には鶏の羽数が増え卵価が下がるのが今まででした。上記のような農水省の説明なら10−11月には今までのような鶏卵価格(低価格)に戻るはずなのですが、年が明けて2ヶ月が過ぎましたが、卵の価格は平年に比べて3割ほど高く維持されています。
 卵の価格の高騰は「季節要因(猛暑)や鶏の羽数を減らした為の一時的な現象」ではないのかも知れません。
 アベノミックスで円安になり、輸入飼料が値上がりしています。そしてまだまだ値が上がるようです。輸入飼料だけでなく、日本で生産される国産の魚粉も漁業に使うガソリンや軽油の価格の高騰で値が上がっています。
我が家は『完全配合飼料』は使わず自分の農場で餌を吟味して、季節季節の鶏の体調に合わせて餌を配合しています。餌配合のために魚粉を使うのですが(魚粉を使わないで、合成アミノ酸と植物性蛋白でも卵を産ませることはで来ますが、卵の品質が、、、。)魚粉は、昨年は約1割ほど値が上がり、今年の1−3月で1割、4月以降も1割ほど値が上がります。アベノミックスで3割以上も魚粉の値が上がります。
 鶏の餌の値段が上がり、電気代が上がり(ウインドレス鶏舎は電気代が莫大です)、ガソリンが上がり、資材費が上がり、、、、。2−3割ほど卵の価格が上がらなければ企業養鶏は経営できないほどに追い込まれたのが今回のアベノミックスです。
 けして一時的な卵価の高騰ではないような気がします。
 仲間の農家と話をしますと「肥料代が(殆どが輸入品です)倍になった」「施設園芸の燃料費が倍かかる」と苦しみの声を聞きます。
 今年の冬の野菜の値段が高いのは「厳冬、積雪」などと言われていますが、気温など一時的な問題ではないような気がしています。
 アベノミックスで円安に誘導され、輸入される飼料、肥料、石油などが値上がりして、私達の食べ物や日常製品に価格高騰の影響を与えています。
私達下々の人間が、食料品やガソリン、電気代などに円安という税金を払い、輸出産業に上納しているのが今のアベノミックスのようです。
その上納したお金の一部が私達に返ってくるのはいつのことでしょうか。
待ち遠しいです。