午後の卵は「三文安」

季節や鶏の年齢により若干の違いはありますが、約80%の卵は午前中に産まれます。 午後に産まれる卵は、産み疲れで産卵を休む前の鶏や、弱くまともに餌にありつけない鶏の卵が多く、午前中に産卵された卵と比べて卵重や色艶で劣る卵が多いです。午後の卵は「三文安」です。
 にわとり屋はこの午後の卵を見て、餌の配合を変えます。このように季節や鶏の体調に合わせて餌の配合比を変えてあげられるのは自家配合の良さです。そして養鶏の技術と経験が問われ時です。『完全配合飼料』ではこのような楽しみもなく、大量生産、大量販売、餌効率などの数字が王道をゆき、個々の鶏や卵は利潤という計算機の中の数字として処理されることが多いです。
午後の卵の内で、色艶の劣る卵が一定比率より多くなったら餌の配合比を変えるときです。粗蛋白を上げるかカロリーを下げることになります。その両方を一度に行うこともあります。餌の配合比を変えるときに注意しなければならないのは、そのときの鶏の年齢、2−3週間後の温度、卵重、産卵率などを総合的に考えて餌の配合比を決めます。(午前の卵が大きすぎるときは粗蛋白を下げる、カロリーを上げるなどの対処が必要です。しかし安直に餌の配合をいじりますと、細く痩せ、栄養価に劣る卵が増えますので注意が必要です)
 とは言え『言うは易く行うは難し』です。今年の5月「そろそろ春の産み疲れが出る頃、粗蛋白を上げてカロリーを下げ、鶏の体力をつけ夏場対策を行わなければ」と思いつつも、産卵は順調、気温は例年に比べて低め、平均卵重は60gの半ばから後半「気温は低め、卵は大きい、いま粗蛋白を上げたら卵が大きくなりすぎてパックに入らなくなる」と不安が勝り、粗蛋白を上げてカロリーを下げるのを躊躇して5月の中旬まで過ごしてしまいました。
先週末から急に気温が上がり鶏の餌の食下量が減ったところに、ここ数日、早朝に狐が鶏舎の周りを駆け回り鶏たちに恐怖のストレスを与えています。(鶏舎内に入られていないので狐に鶏は殺されていません)夏のような暑さと、狐のストレスと春の産み疲れの三重苦で我が家の鶏たちの産卵が下がってしまいました。