心臓大動脈弁閉鎖不全症覚書

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8月26日
5時15分起床。寝付かれない夜だった。
9時、病院長(大竹**医師)回診、聴診器を私の胸に当てて「典型的な心臓弁膜症の音がする」と言われ私に聴診器を貸してくれた。初めて聴診器で聞いた私の心臓音です「わからない」が本当のところでした。その後病院長より「これは絶対に直ります、心臓も少しずつ小さくなりもとのように元気になれますから」と力強く励ましていただいた。素直にうれしい。手術の不安はあるが、直った自分を思い描き頑張ろうと思う。
 手術後の呼吸の仕方、痰の出し方の練習をするように看護師に言われる。
 10時、頭部のCT検査。医師、看護師、検査技師、事務系の方、すべての病院スタッフは教育が行き届いていて人を不快にさせる人はいない。「病院は我慢するところ」と言う今までの考えは変わりつつある。
 10時半、麻酔科の宮田医師より28日の術日の麻酔についてリスク等の説明を受ける。
 私が会ったニューハートワタナベ国際病院のすべての医師は「患者に医師の専門知識を押しつけるでなく患者が納得するまで話し合い、勿論患者に媚びるでもなく、患者の目線で考え、悩みや不安解消に努める」、良い意味で私には新鮮な驚きの連続だ。
 3時半から4時シャワー。外は昨日、今日と暑いようだが病院の私の部屋内は24−5℃。眠くなる、テレビを見ても日頃見慣れないためか面白くない、キンドルで本を読んですごす。ベットで深呼吸法を練習して、そのままうとうと、21時睡眠。やはり外の車の音が気になるのでイヤーホンを耳にして寝る。

8月27日
 日曜日、5時50分起床。睡眠は浅く、細切れだったが寝られた。
 9時半、看護師より明日の手術後について説明がある。「痰だしは痛いが我慢すると肺炎を起こす可能性があるので痰は我慢しないで出すこと」、「手術当日は麻酔が効いているので痛みはないが、その後2−3日腹に刺されたチューブが(心臓の周りに溜まる液を出すため)痛いと思うが痛みは我慢せず看護師に言ってほしいとのこと。看護婦が帰り次第、あわてて痰だしの練習。
シャワー室に今日のシャワー予定を見に行く、私を含めて3件の除毛予定(純粋にシャワーのみの人は30分、1時間の予定をとっている人は除毛も兼ねているようだ)、明日は3件の手術予定のようだ、そして朝1番目が「私」だ。病院から借りたバリカンで除毛、除毛の最終チェックは男性の看護師だった「醜い老体を若い女性にさらすのは、、、」と心配していたが、いらぬ心配だった。
 手術室の看護師から明日の手術の説明。知的ですてきな看護師だった。
9時半睡眠、明日の手術の不安もなく睡眠。
 8月15日に渡邊医師にお会いして、25日には執刀医の木内**医師から丁寧な説明を受け、私の心臓手術への不安は取り除かれていた。不器用な私が手術をするなら不安でしょうが、私は信頼できる医師に手術をされる方です。万、万、万が一私の手術が失敗して死ぬようなことがあっても、原子や分子に帰った私はわかりません。「地獄」「天国、極楽」私が一寸憧れる「地獄八景亡者戯」もすべて生きている人たちから見た「死の世界」です。
「まあ、私は助かる」と言う確信はあります、この病院の大動脈閉鎖不全症の手術成功率は99.8%ですから、私が助からないわけがありません。