卵の賞味期限

先日、息子が図書館から借りてきた自然卵養鶏の本に「私の養鶏場は、鶏の飼い方や餌にこだわっているので卵の賞味期限は常温で夏は1ヶ月、冬は2ヶ月大丈夫。夏場は卵の孵化が進むので雄は入れない方がよい」との記載がありました。
 私が食べる卵でもありませんし、世間にはより酷い卵も流通していると思いますから、一々本に書かれた内容にとやかく言うのも野暮かも知れませんが、ちょっと気になり「賞味期限」について調べてみました。
『 辞書によりますと・・・賞味期限とは、劣化が比較的遅い食料品を包装状態のまま所定の環境に置いた状態で、製造者が安全性や味・風味等の全ての品質が維持されると保証する期限を示す日時である。製造日を含めて概ね5日以内に急速な品質の低下が認められる食料品については、「消費期限」で表現される。』と書いてありました。
 では、卵について「賞味期限」はどのように決められているかを調べてみますと
『「賞味期限」は、たまごを安心して生食できる期限を表示したものです。
・たまごには、「リゾチーム」という殺菌力のある酵素や「卵黄膜」というバリアーがあり、菌の増殖を防いでいます。賞味期限表示は、正しい冷蔵保存によって「サルモネラ菌」が増殖しない期限を示す安全表示になっています。賞味期限の期間は、「サルモネラ菌」の増殖が起こらない期間をベースに決められています。
サルモネラ菌の増殖が起こらない期間は、たまごの「保存温度」によって決まります。その期間は、菌の温度による増殖速度の違いから、夏は短く冬は長くなります。賞味期限は、この期間に家庭における冷蔵保存の「7日間」を加えたものです。
・(社)日本卵業協会などの指導では、賞味期限の期間を次のように設定しています。(あくまでも基準であり、期限設定については生産者およびGPセンターが行うが、問屋業者を含めて協議することとしています)
賞味期限設定の目安
夏期 7月、8月、9月 集卵日から最大17日以内
春、秋 4月、5月、6月、10月、11月 集卵日から最大27日以内
冬季 12月、1月、2月、3月 集卵日から最大50日以内 』となっています。
 上記から考えられるのは、(社)日本卵業協会などは卵を生食できる期間(要するにサルモネラ菌で食中毒を起こさない)を賞味期限と決めているようです。
 この決め方ですと、辞書に書いてある「賞味期限」・・・安全性や味・風味等の全ての品質が維持されると保証する期限とは言えません。この「賞味期限」の決め方が、消費者が求める「消費期限」に近い卵の品質保証との違いにより時々両者で齟齬が生まれる原因になります。
自然卵養鶏の「私の養鶏場は、賞味期限は常温で夏は1ヶ月、、」は、食べても食中毒にならないと言う面では品質保証はされますが(自然卵だからではありません、我が家の卵でも同じです)、消費者は食中毒だけを考えて卵を食べているのではないと思います。卵の味・風味等の全ての品質が維持されることを求めています。
 夏に常温で1ヶ月保存した卵は私は食べたくありません、私のお客さんにも勧められません。(30℃の環境に1日卵を置いておくと、冷蔵庫に入れて保存した2ー3週間以上の品質の劣化になります)
我が家では夏は卵をクーラー室で保管して、お客さんには年間を通して卵の賞味期限を2週間でお願いしています。この2週間の設定は、私が卵を気持ちよく生食できる期間と思い決めています。