米で鳥インフル感染拡大、被害3890万羽―鶏卵高騰

2015 年 5 月 22 日 WSJ

 米国では過去最悪の鳥インフルエンザ感染により経済的被害が拡大しており、一部の家禽事業者は休業を余儀なくされ、需給がひっ迫していることで鶏卵や七面鳥の価格が高騰している。
 鶏卵生産業者――感染による被害が最も大きいセクター――や七面鳥生産者はこの病気を封じ込めようとして数百万ドルを費やしている。 米国政府は間引きされた家禽、清掃や消毒、検疫などの費用を援助するために4億ドル近い予算を割り当ててきた。
 鳥インフルエンザに感染して死んだり、殺処分されたりした家禽は少なくとも3890万羽に上る。この数は1980年代に起きた前回の米国の大流行と比較しても倍以上である。特に鶏卵に関しては、生産が比較的少数の業者に集中しているという米国の事情もあり、問題はかなり複雑だ。
その総数のうちの3200万羽以上が採卵鶏で、これは米国の全採卵鶏の約10%に相当する。
 市場調査会社アーナー・バリーによると、米マクドナルドのようなレストラン、米食品流通大手シスコ・コープ、加工食品メーカー向けに売られている「液卵(卵殻を割って内容物のみを集めた加工卵の一種)」の卸売価格はこの1カ月間で3倍近くになり、5月21日には1ダース分で2.03ドルという過去最高値が付いたという。その一方で、食品雑貨店で売られているLサイズの卵、12個パックの中西部での卸売価格は約85%も急騰して2.20ドルになった。16ポンドの冷凍七面鳥の卸売価格はポンド当たり1.14ドルで、アーナー・バリーによると、1年前の価格よりも4.5%上昇しているという。
 小売業者はそうしたコストの上昇を転嫁せざるを得ないので、食品雑貨店での価格も上昇することが見込まれている。
 150年にわたって業界の相場を調査してきたアーナー・バリーで鶏卵市場を担当するブライアン・モスコジウリ氏は「こんなことは全く前例がない」と話す。
 一部の食品メーカーでは鶏卵の需給逼迫で利益が縮小している。シリアルメーカーのポスト・ホールディングスは先週、鳥インフルエンザがその鶏卵供給の約25%に影響を及ぼしており、卵白のみの液卵や卵製品の材料などを提供している傘下のブランド、マイケル・フーズでは一部の製品ラインが製造中止に追い込まれたと警告した。同社は今月初め、鳥インフルエンザの感染拡大の影響で2015年度の営業利益が約2000万ドル減少すると予想していた。ポストの広報担当者はコメントの要請に応じてくれなかった。

 鳥インフルエンザの流行が収まりません。文中にもありますが「特に鶏卵に関しては、生産が比較的少数の業者に集中しているという米国の事情もあり、問題はかなり複雑だ。」衛生管理が行き届いた大規模養鶏場と思われます。鳥インフルエンザは「消毒して、ウインドレス鶏舎などで隔離し飼育するのが一番安全」と言われ続けています。このような安全と言われる養鶏場に比べて、私のような零細養鶏場は百倍以上の件数があります。趣味で鶏を飼っている方もたくさんいます。そして数えられないほどの野鳥が日本に生息しています。でも、鳥インフルエンザウイルスは、消毒されウインドレス鶏舎等で隔離された大手の養鶏場を好むようです。