企業養鶏と反企業養鶏について (5)

鶏種について 鶏肉ほどではないですが、鶏卵も鶏種により味が変わると言われています。戦前から日本で飼われている地鶏の卵は小さいですが、あっさりした中にもコクと甘みがあり美味しいと言われます。シャモや烏骨鶏の卵もここに分類されますが、これらの卵は現在では一般的ではありません。現在は赤系の鶏も、白系の鶏も殆ど海外からの数種類の鶏種でしめられ、鶏種の違いによる卵の味の差は無いと言われます。私は個人的には、オランダで育種された「黒い羽根の鶏・ネラ」の卵と肉が美味しいと思います。昔この鶏を飼いその美味しさに(特に鶏肉)魅了されましたが、産卵率や卵の殻の色が薄く(卵の味には関係ないのですが、お客さんは濃い色の殻の卵を好みます)、卵の販売に難点がありました。チャンスがあったら、もう一度飼ってみたいと思わせる魅力的な鶏です。
餌について 今まで何度も言ってきましたが、卵の味は餌によって変わると私は思っています。特に『完全配合飼料』には肉骨粉が混ぜられ、その肉骨粉に含まれると思われる臭気の分子が、卵黄の脂肪分子に取り込まれ、その臭いのために多くの市販の卵(『完全配合飼料』を食べさせている鶏から産まれる卵)の黄身が臭く敬遠されます。もう十数年昔になりますが、市販の卵と我が家の卵の栄養分析をしたことがあります。我が家の卵が全般に2−3割増しで栄養価が高かったです。季節により食べさせる餌も変わりますし、鶏の年齢によっても卵の栄養価は変わると思いますので、単純に比較はできませんが、鶏に食べさせる餌を吟味することにより卵の品質の向上はできると思います。鶏を庭に放し飼いして、鶏は家庭から出る残飯とミミズや虫などから蛋白質を得て、腐葉土や草を食べる。理想とされる鶏の飼い方ですが、産卵率や日本の土地条件を考えたら、このような鶏の飼い方の卵は自家用までと考えられます。このような卵の味はミミズや虫などを食べるために生臭くなることが多く販売にも向きません。
飼い方、薬などについて ウインドレス鶏舎やケージ飼いの鶏の死亡率は、ストレスのために平飼いや放し飼いの鶏と比べて数倍高いと言われます。また身動きができない(しにくい)飼い方のために、食べる餌も少なく、卵に移行する栄養やミネラル分も少なくなると言われます。養鶏家は無駄に薬を使いません。薬を使うと言うことは、その鶏の健康に何らかの問題があると考えて間違いありません。健康でない鶏は良い卵を産めません。簡単なことです。