ブロイラー・チキン

 今日は英語の勉強から。ブロイラー・チキンの語源は、英語のブロイル(焼く・照り焼き)を名詞形にしたブロイラーのようです。
 この語源からも分かりますように、塩やスパイスをふりかけて焼いて食べる肉がブロイラーです。焼くと固くなる肉の特性を考えますと、焼いて食べるには「肉が軟らかい」ことが第一条件です。肉本来の「味」等という不確かで意見の分かれることは問われません。肉に塩とスパイスで味を付けて「かぶりつき、お腹を満たす」世界です。
 ブロイラーは原子力爆弾と同じく、第2次世界大戦時のアメリカで「出来るだけ早く国民に食肉を提供する」ことを目的に開発された飼育方法だと言われています。牛や豚などの大家畜は成長に時間が掛かりすぎるために、鶏に白羽の矢が当たりました。
戦後もブロイラーの品種改良が続けられ、生まれた時には40gしかない雛の体重も、生後49日で2.2kg〜2.3kgとなり、生後55〜59日で2.6〜2.8kgにも成長して出荷を迎えます。ブロイラーは1ヶ月半か2ヶ月で食肉になる運命です。
鶏の2ヶ月は、人間で言いますと概ね3−4年、まだまだ幼稚園児です。そんな短期間でブロイラーは約70倍の体重に成長します。人間に置き換えますと200kgを超え、小錦や曙などの巨漢の世界です。異常です。その異常に早い成長のために、足の骨格の成長が追いつかず、ブロイラーは脚弱など足に問題を抱えることが多いです。このようにブロイラーが急激に体重が増えても、鶏という生き物である限り細胞数は特別に増えることはありません。要するに一つ一つの細胞が肥大化するだけです。
 昔から肉屋は「ブロイラー肉は置いておくだけで目方が減る」と言います。
 無理矢理太らされ、細胞に含まれた水が自然に抜けるからです。ブロイラー肉を大人が力強く握ると水がしたたり落ちます。
ブロイラーはこのような肉です。「特別な味もなく、安く、早く育成が出来る」と言う特性を生かしたのが、・・・・フライドチキンです。(・・・・には各自好きな名前を入れてください。)素材の肉に味がないので、各社の秘密のスパイスの味が安定します。安く手にはいるなら鶏肉でなく、魚肉でも良いのです。要するに各社のスパイスと塩味を堪能するのですから。
このようなブロイラー肉の特性を理解しますと、日本の煮込み料理にはブロイラー肉は使えません。化学調味料や、醤油の味だけの料理になります。
煮込みなどで素材の味を楽しむなら地鶏を、揚げ物などスパイスや塩味を楽しむならブロイラー肉を進めます。地鶏、ブロイラー肉どちらにも言えることですが、鶏肉のいやな臭いを指摘する方が増えています。これは餌の問題です。「コストパホーマンス」等という舌を噛みそうな言葉が大手を振り、「鶏が、肉が、卵が」と一番大切に考えるべきことが忘れ去られ「石が浮かび木の葉が沈む」そんな本末転倒なことがまかり通る世界です。餌が悪くなっています。
 さて地鶏ですが。どの様な地鶏が水炊きなどの日本料理に合うのでしょうか?地鶏についてはまたあらためて書きます。