ゆっくり育てた鶏の肉、米企業が注目

動物の苦痛少ない畜産への需要高まる
By
KELSEY GEE

2016 年 5 月 11 日 11:00 JST
原文 (英語)
 米鶏肉業界は数十年にわたり、鶏の成長を早める方法を探求してきた。ところが今、一部の顧客は成長を遅くする生産者を探している。
 普通の肉用鶏は、50年前の約半分の期間で2倍の大きさに成長する。成長ペースの加速は、養鶏業者による費用節約と利益拡大が可能になったことを意味する。
 だが、ホールフーズ・マーケットやスターバックス・コーポレーションといった企業は今、ゆっくり育った鶏を使った商品なら高めの値段で売れると見込んでいる。

 成長の遅い家畜の肉への需要が増加していることは、動物の苦痛を抑えた、より自然な畜産や食品に対する消費者需要の高まりを反映している。
 農業経済学者によると、鳥類をゆっくり成長させる場合、屋外で飼うことが多く、鶏肉の値段は通常の2割増しから3倍になる。
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 食肉加工大手タイソン・フーズ傘下の育種会社コッブ・バントレスの幹部は「そんな金額を払って鶏肉を買おうとは思わない人のほうが多い」と述べた。
 世界の原種鶏供給の大半を占めるエビアジェン、コッブ・バントレス、仏系のハバードの3社は、生産コスト削減や鶏肉価格の低下に向け、体重が急速に増加する品種を重視してきたという。
 養鶏業者によると、過去に心臓発作や脚の奇形があったことから、そうした品種は心臓血管や骨格が強い品種と組み合わせる。
 ネスレやボナペティ・マネジメント傘下のコンパス・グループといった企業は、こうした選択的交配を何十年も続けたことが重大な病気などにつながったうえ、肉の風味が損なわれてしまったとみている。

 ハバードによると、ネスレのような企業は一部の市場で81日以上かけて育てられる「JA57」という品種に注目している。一方、エビアジェンの茶色い鶏「ローワン・レンジャー」など、成鶏になるまでに約56日かかる品種もある。これは、同社の従来種が同じ体重に成長するより2週間半長い。
一方、ホール・フーズは、精肉小売り用に成長の遅い鶏を開発するのに約8年かかるとみている。それには例えば、成長が1日当たり約50グラムという業界水準(グローバル・アニマル・パートナーシップ調べ)より約23%遅い鶏への入れ替えが必要になる。

 世界で流通する原種鶏のうち成長の遅いのは推定1〜3%と、現在のところごくわずかだ。
 企業の社食などで年間約1100万ポンド(約500万キロ)の鶏肉を使用するボナペティ・マネジメントは、成長の遅い品種の購入を増やせるかどうかを生産者と協力して検討しているという。
 エビアジェン、コッブ・バントレス、ハバードの3社は、顧客が成長の遅い品種への移行を望むのなら、原種鶏を供給する用意はあると話している。

短期間で成長させるブロイラーは異常な世界です。人間で言いますと4−5歳児の体重を7-80kgに成長させる世界です。心臓や骨格に問題が出てポックリ死んだり、自分の体重の重さで立てなくなる鶏もいます。 文中に「肉の風味が損なわれてしまったとみている。」とありますが、当たり前です。鶏の日令による細胞数は一定です。鶏は工業製品でなく神が作り出した生き物です。 それを4−5倍も早く太らせる(成長させる)と言うことは、細胞を水太りさせているだけです。風味や味なんて気にしていません。柔らかいですが。だからスパイスで味をごまかします。
鶏肉を大根や芋と煮込む和風料理には向かないと思います。我が家の廃鶏の方が何倍も美味しい鶏肉です、しかしブロイラー肉になれた人には細胞が締まっている我が家の鶏肉は堅いと言われます。「木の葉が沈んで石が浮かぶ」そんな世界です。