廃棄食品横流し事件に思う

 プラスチック片混入のために廃棄するべきココイチのカツを、産業廃棄物処理業者・ダイコー経由でみのりフーズ食品、ブローカーと呼ばれる人たちの手を経てスーパーなどに横流しされた事件です。最悪の場合は食中毒などによる人的な被害も考えられる悪質な事案だと思われます。厳正な処罰を求めます。
 でも、この事件を違った視点で眺めますと現代の「歪な食流通」社会がかいま見られるような気がします。
テレビ映像からですが、テレビに映し出されたココイチのカツの断面写真には驚かされました。くず肉?と脂身の合成カツです。それもたっぷりと脂身を混ぜられた肉を、衣をつけて油で揚げた食品です。そのテレビ映像を見て「4万枚に1個の確率のプラスチック片の方が安全じゃないか。プラスチック片なら吐き出せるぞ」と不謹慎ながら思ってしまうようなカツでした。もちろん今回の問題とは別問題ですが。
 このようなカツを廃棄処分するにはどのような方法があるのでしょうか。産業廃棄物の方法としては大きく分けて、焼却処分、堆肥化して畑とうに再利用、畜産の飼料として再利用の3方法かと思われます。
 近年はできるだけ環境負担を考えて再利用が叫ばれていますが、畑も畜産も産業廃棄物の捨て場ではありません。油分が多いココイチのカツでは堆肥にも畜産にも再利用できません。(正確に記すなら、他の食品と混ぜて油脂分を薄めたら利用できますが、大変にお金がかかる方法です)
 焼却処分しか方法がないと思います。畑にも、畜産にも断られるものを人間が食べさせられています。
 産業廃棄物を焼却処分するにはトンあたり5−6万円かかるといわれています。ダイコーは他の産業廃棄物処理業者に比べて安い値段で引き取り(一説には1−2万円とも言われています)処理していたようです。この点だけでも、常識のある担当者なら「おかしい」と思うはずです。誰が被害者で、誰が犯罪者かわからなくなります。
 マルコメみそ、生協のマグロのカルパッチョなども畑にも畜産にも再利用しにくい食品廃棄物です。
 ダイコーは、再利用できないような産業廃棄物の「駆け込み寺」のような役をしていたようです。普通の社会人としての常識があればこのような会社には産業廃棄物を出さない、または流通経路を疑い確認すると思いますが。やれやれです。