農業の規模拡大(1)

先日、農業後継者や新規就農者の新しい農業への取り組みを特集した『農のチャレンジャー』と言う新規就農事例集を読みました。冊子に掲載されている多く方が『今後の農業経営の目標』に「経営の規模拡大、経営の効率化」と書いてあり、私が新規就農した30年前と余り変わっていませんでした。
 農業者の高齢化、食糧自給率の低下、遊休農地の利用、外国に比べて値段の高い日本の農作物の価格是正の切り札として、「農業の規模拡大による経営効率化」が叫ばれて久しいです。農業の規模拡大によりスケールメリットが産まれ経営の効率化が進み、利益の再投資により一層の規模拡大を図り、農業の企業化により安定的な農業生産を進める。30年(それ以上)前から農政、農業者の間で叫ばれ、莫大な税金を投下して「農業の規模拡大による経営効率化」がおし進められ、その結果が現状の農業者の高齢化、食糧自給率の低下、、、、でした。
「爺、婆農業」で安楽死を待つ現状の(日本の農業がなぜこの様になったか検証する必要があります)日本の農業が正しいとは言いませんが、果たして本当に農業の規模拡大が日本の農業に、農村に、日本に住む人達に明るい明日を約束できるのでしょうか。
 農業を規模拡大して社員を雇い、1日24時間を三交代で働いても、米は年に1回しか収穫できないのが農業のです、自然に束縛されるのが農業です。
 農業の規模拡大を押し進める前に、農政、農協、農地法の「農業、農家ためへ」大幅な変革が必要だと思われます。そして農家、国民の「農作物、食料」への意識の変革が必要です。このような議論のないまま今までのようにダラダラ農業の規模拡大を推し進めますと、補助金などで上げ底規模拡大した農家、農業企業の倒産が進み今以上に遊休農地の拡大、食糧自給率の低下、農村の荒廃が進みそうです。