農家は貧しいか?(1)

 「新規就農は経済的に厳しい、農業は儲からない」と農業の景気の悪い話を書いてきました。就農から数年で年間2千万円以上も稼ぐ農家もいます、メロンや高原野菜に特化して「農業収益1千万円、2千万円は当たり前」と豪語する農家がゴロゴロいる農村もあります。でもそれは特殊であり、農家のほんの一部の世界の話です。お間違えないように。
 農水省の各種データーによりますと、農家の平均収入はサラリーマンの1/2から1/3程と言われています。しかし「広々とした豪華な家に、手入れの行き届いた和風の庭園。多くの車」そんな豊かな農村のイメージが都会の生活者に広がり、「農家は補助金で儲かっている、甘やかされている、土地成金」などと農家の批判に繋がった時代がありました。 本当に農家は儲かり、甘やかされているのでしょうか?
 確かに農村には「広々とした豪華な家に、手入れの行き届いた和風の庭園。多くの車」と言われるような家はあります。でも、それらの家の多くは「農村の公務員、勤め人」の家です。比較的土地の値段が安く、または相続で無料で手に入り、安定的な収入がある家が「豪華な家」の住人です。そして間違えないで欲しいのは、貴方が見ている農村の家は何代も続いた蓄積の現れです。
 多くの専業農家には日本銀行の絵はがき(お札)は縁遠い物です。お札は寂しがり屋で群れたがり、できるだけ沢山集まっている所に行きたがるようです。これが金持ちがより金持ちになる理由のようです。多くの農家には無縁の話です。
 では、農家は本当に貧しいのでしょうか?
 都会の貧富の物差しである「日本銀行の絵はがき」の数で争うなら、農家は貧しいと言えます。世界はグローバル化されて、全てをドルで換算する経済が進んでいます。このような先進諸国の工業社会が決めたルールで行われるグローバル経済の物差しで判断するなら、日本の農家は貧しく、アフリカやアジアの南の国々の人達は「貧困に喘いでいる」と言えます。アジアやアフリカの人達まで話を広げますと、私の頭では説明ができなくなりますので、日本の農家、私を含めた私の周りの農家について考えていきます。