家畜福祉:欧州で広がる コストかけて、ゆったり飼育 国際機関も指針策定へ

 ◇「経営圧迫」日本対応遅れ
 家畜の飼育にも福祉の考えを取り入れる「家畜福祉」が西欧で浸透しつつある。EU(欧州連合)は2013年から、鶏の狭いケージ(かご)飼いを全廃する方針だが、日本でも同様な「福祉鶏舎」を導入する養鶏業者が出てきた。ただ、生産コストがかさむため卵の値段は高い。「安い卵か、鶏の幸せか」。消費者にとって悩ましい問題が突き付けられる。【小島正美】
 埼玉県西部の秩父山系の入り口にあたる寄居(よりい)町の山林にロッジのような木造建物がある。近づくと「コーッ、コーッ」とにぎやかな声が聞こえる。丸一養鶏場が経営する、福祉を重視した採卵鶏舎「ナチュラファーム」(約7000羽、面積約850平方メートル)だ。鶏舎では屋根付きの広場でたくさんの鶏が歩き回っている。床におがくずがたっぷりと敷かれ、排せつ物もにおいもない。鶏舎はこのほか、屋外の運動場▽止まり木のある休息エリア▽餌を食べたり水を飲む給餌給水エリア▽産卵エリアの五つのエリアから成る。一柳憲隆・同社専務は「冬場は、鳥インフルエンザに感染する恐れもあるので、鶏は屋内の広場で遊んでいる。
金網が張ってあり、外から(感染源になりうる)スズメなどが侵入することはない」と話す。鶏たちは舎内を自由に動く。奥では多くの鶏が止まり木に止まっている。朝になると産卵場所に行き、卵を産むという。通常の大規模な鶏舎は、薄暗い人工照明の中で4〜8段の四角いケージに鶏がびっしりと飼われている。
鶏が自由に動く空間は少なく、3・3平方メートルあたりの飼育数は60〜100羽前後。これに対し、ここでは3・3平方メートルあたり25羽程度だ。一柳さんは、産卵場所と遊ぶ場所を分けるなどドイツ方式の福祉鶏舎をスイスで見て、導入を思い立った。06年秋、ドイツから技師を招き、鶏舎を完成させた。建設費は1億円を超え、通常の鶏舎の3倍以上かかった。卵は自然食品店などに卸す。価格は1個あたり約60〜100円と高いが、「設備費もかかるためもうからない」という。同社は通常のケージ飼い卵も大量に出荷しており、福祉鶏舎は実験的な取り組みにとどまっている。毎日新聞 2008年3月27日 東京朝刊

「家畜福祉」は真剣に考えなければならない問題です。しかし、往々にして人間の「経済的利益」優先ために「家畜福祉」と言う言葉が使われる事が多いです。注意が必要です。上記のニュースは、7000羽で鶏舎建設費が1億円。1羽当たり約1万4千円ほどです。観光養鶏場にするためにこれほどお金を掛けたのでしょうか?我が家では、1羽当たり700円ほどで建てた寒風が吹き込む鶏舎です。でも鶏は文句を言いません。
そして、坪当たり25羽の鶏を飼育しています。病気が心配です。我が家は坪当たり12−5羽程です。我が家の卵は1個当たり35円で販売しています。儲かりませんが、家族は食べていけます。