月1900円の「食料安全保険」(1)

 昨年は偽装食品がテレビや新聞などで毎日の様にニュースとして取り上げられ、今年は中国の毒ギョーザ事件が日本の食卓の現状をあぶり出し、「食糧自給率39%」の数字が日本の食の危機的現状をあらためて確認させます。
 食糧自給の危機的状況が騒がれる一方で、テレビでは大食いが持て囃され、メタボリックシンドローム等と言う舌を噛みそうな言葉が巷では流行して、「ダイエット」が若い女性の一番の関心事で、為政者、識者は廃棄される大量の生ゴミの多さに憂う日本です。
 「飽食の中の漠然とした明日への不安」が日本人の多くの人達の気持ちだと思います。 日本の農地は約470万ヘクタール。農家戸数は約195万戸、農業を主とする専業農家は45万戸と言われています。農業従事者が837万人、農業を主としている人が335万人。内59歳以下の農業従事者は104万人。トヨタ自動車の売上高が年間24兆円、パチンコ産業が30兆円とも言われ中で、日本の農業総生産額(売り上げから機械、肥料、農薬などの投入費用を除いた付加価値)が、7.5 兆円、農産物輸入額が7.7 兆円です。 これらの日本の農業数字を「多いと思うか、少ないと思うか」は人それぞれ立場により変わるかと思います。
 日本の農業総生産額7.5 兆円に対して、毎年約2.7兆円ほどの農業補助金が使われています。国民一人当たりの負担額で換算しますと月1900円ほどになります。「飽食の中の漠然とした明日への不安」に国民が毎月1900円の「食料安全保険」を掛けているとも言えます。
 日本で生産される農作物価格は、国際価格に対して平均すると約1.6倍になると言われています。国際価格に対して1.6倍値段が高い農作物を、消費者が購入することで負担する見えない農業補助金が年に2.8兆円と言われています。合計5.5兆円の農業補助金で7.5兆円の農業総生産額をあげているとも言われます。そのほかに輸入農産物に正当な税金を掛けたら得られる税が後4兆円ほど。それらを合計しますと9.5兆円の補助金を遣い7.5兆円の農業総生産額をあげているのが日本の農業の現状である、と言う極端な意見の経済学者もいるようです。「農家は遊んでいた方が安く上がる」バブル頃に一部の評論家が言っていた話の繰り返しですが。私達農家を「国土緑化防衛隊」として、公務員にしたらどうでしょうか?(笑)