卵の白身について

 鶏卵の各部分の重量比は、卵殻 8〜11%、卵白 56〜59%、卵黄30〜33%程と言われますが、この割合は、鶏の月令、卵重、季節、鶏種など、色々な要因によって違いが出ます。
 鶏卵の中で一番重量比で多くしめる卵白は、粘度の低い「水様卵白」と粘度の高い「濃厚卵白」よりできており、その比率は外水様卵白25%、濃厚卵白50〜60%、内水様卵白とカラザが15〜25%程と言われますが、産卵後の日数の経過や鶏の年齢に伴って変わると言われています。産卵日数が多く経過した卵や、老鶏の産んだ卵の白身は「水様卵白」が多くなり、卵白が流れるようになります。
 卵白は黄身に比べて味もなく、何となく黄身の「付録として付いている」と思われがちですが、卵白もなかなか優れものです。第一に卵白はヒヨコの基になる胚(はい)を雑菌から保護します。卵白中には「リゾチーム」という、風邪薬の元にもなる成分が含まれていて、これにより、たまごの中に細菌が侵入するのを防いでいます。
 卵は人間に食べられることを考えているとは思えませんが、食中毒として恐れられるサルモネラ菌の増殖も卵白は防ぎます。(サルモネラ菌は鉄分がないと増殖できなく、卵白中には鉄分が無くサルモネラ菌は増殖しません)
 「味も栄養もない」と勘違いされそうな卵白ですが、卵白は栄養豊富なタンパク源(プロテイン)ですから、ヒヨコが成長するため(胚が細胞分裂してヒヨコになるまで)の栄養補給源となっています。
 新鮮な卵ほど卵の中に残っている炭酸ガスの影響で白身は白濁しています。産卵後は卵殻にある気孔(きこう)から次第に炭酸ガスが抜けて卵の白身も透明化します。この卵の性質を利用して、わざわざ卵パックに炭酸ガスを充填してビニールパックで覆い、炭酸ガスが逃げないようにして長期に卵の鮮度を維持出来る「特殊卵」も販売されています。
 新鮮な卵のゆで卵は「殻が剥けにくい」です。その原因は卵白のpH(ペーハー)に起因しており、「卵白のpHが低いと卵の殻は剥きにくく、高いと剥きやすい」と言われます。このpHの変化(日数が経つとpHが高くなり殻が剥けやすくなる)は、卵白に含まれている炭酸ガスの蒸散によって起こります。
 卵白pHが低いと加熱により卵殻膜(うす皮)と卵白の癒着がおこり、卵の殻が剥きにくくなる原因です。 
 またうすく鼈甲(べっこう)のような白身の色は卵白に含まれているリボフラビン(ビタミンB2)の色によるものです。リボフラビンは哺乳類や鳥類において必要なビタミンなので、鶏のエサ(飼料)にも含まれています。餌に野菜や糠などのビタミンB群をたくさん含んでいる物を混ぜると、どうしても白身に色がはっきり付くようです。勿論安全です。