烏骨鶏 (上)

一般的な鶏のみならず、鳥類全般から見ても特異な外見的特徴から(皮膚、内臓、骨に到るまで黒色です。羽毛は白と黒がり、成鳥でもヒヨコ同様に綿毛です)、中国では霊鳥として扱われ、秦の始皇帝が徐福を不老不死の霊薬を求める旅に出し、そのときに集められた数多くの霊薬の中の一品が烏骨鶏と言われています。
 実際に栄養学的に優れた組成を持ち、また美味であるため(肉は癖のある味で、好き嫌いの個人差が大きい鶏です)、現在でも一般的な鶏肉と比較して高価格で取引されています。
 その烏骨鶏を我が家で飼っています。「いました」と言った方が、より事実に近いかも知れません。私は趣味として、10年ほど前から烏骨鶏を20羽ほど飼っていました。
 長男が大学を終わり我が家に帰ってきて、鶏飼いの勉強をしているとき「純粋な血統の烏骨鶏にしよう」と(日本にいる多くの烏骨鶏は産卵率を良くするために白い卵を産む鶏とかけ合わされたりして、雑種が多くなっています)、県の畜産試験場より純粋な烏骨鶏の雛を譲り受けて増やし始めました。古い烏骨鶏を淘汰して、純粋種の烏骨鶏が増えて喜んでいた矢先、烏骨鶏泥棒に入られ(地域の微妙な関係があります。もう少し時間が経ち生々しさが消えたら、お話しできるかも知れません)烏骨鶏を全て盗まれてしまいました。
大事に育てていた烏骨鶏を泥棒された怒りと、損失感で烏骨鶏のことを暫く忘れるようにしていました。
 長男がアフリカから帰って来たのをきっかけにまた烏骨鶏を飼い始めたのですが、まだやっと2羽です。鶏インフルエンザ流行以降、県は病気の拡散を恐れて愛好家に雛を譲らなくなりました。我が家も鶏の色々な病気のことを考えますと、見も知らない人から烏骨鶏を譲り受けることはできません。信用できそうな人の卵を我が家の鶏に抱かせて雛を孵す方法をとっています。先が長い話です。