食糧自給率、夏の夜の夢  (下)

 地球温暖化が騒がれ、世界の気象変動が激しくなり、例年のように水害、干ばつ、台風などの自然災害の被害が酷くなり、一方で人口が増え続けるこの21世紀の地球で、一億からの人口がいる日本が、いつまでお金で世界の食料を買い続けることができるのでしょうか?
 いざと言う時は、一部のお金持ちは国を捨て豊かな国に移住することも、お金で食料を買い集めることもできると思いますが、多くの日本人はどうなるのでしょうか? 不安になります。
 山林に囲まれ、急斜面の多い日本で水害、干ばつ、台風等の激しい気象変動に対応するためにも、食糧安保のためにも日本の水田は守り抜くべきです。
 そのためには米は農家が再生産できる価格で国が全量買い取るべきだと思います。 勿論、農家のモラルハザードを防ぐために「米価」と「環境保護」の両面で水田保護を考え、米価の設定には十分注意が必要です。
 ここで「余る米をどうするか?」と言う問題が出てきます。「食糧自給率40%割る」日本では本来「余る米」ではないはずです。宮沢賢治の「雨にも負けず」の詩に出てくる「一日玄米4合」(年間約220kg)にも見られるように、この国は瑞穂の国で、米を主食に食べて来た国です。国民一人あたりの米の消費が60kgと言う方が異常事態だと考え、こちらを変えていくよう努力するべきです。
 暴論になりますが、小中学校の給食、国、県、市町村の関係施設での食堂は「米食」を義務化しましょう。生活保護世帯には一部米の現物支給をしましょう。そして米の価格を他の穀類に比べて安く設定します。
農家を守るための生産米価と、販売を増やすための販売米価の莫大な差額を誰が負担するかが問題になります。そのようなお金は国には出す力はありません。
自称農家の好き放題にしている「農地の転売」を厳しく取り締まり、転売農地による利益は全て吐き出させるべきです。農家が不動産利益を当てにするのではなく「農業は農作物を作り生活をする生業」を再確認するべきです。そして耕作放棄してある農地は税金をかけて、農業に意欲のある人たちに集約化が進むようにします。
 それらの農地の税金の総額は年間1ー2兆円以上の税金として入ってきます。このお金を水田と環境保護のために利用するべきです。「農地の転売」を厳しく取り締まりますと、農地の値上がりを待っていた人たちが諦め、時間とともに農地は農業のための適正価格に落ち着き、「農業者」に農地が集約され、結果的に農業の効率化が図られ農作物の価格安定に繋がると思います。農地では不当な利益が上がらないことを確認して、農家に「まじめに農作物を作るか?、農地を手放すか?」を問いただすべきです。
 夏の暴論、夢物語ですが、今の日本には革命に近い農業政策が求められています。