食糧自給率、夏の夜の夢 (上)

 先日の新聞に「日本の食糧自給率40%割る」と大きく出ていました。昨年度の(平成18年)の米の不作が食糧自給率低下の直接の原因のようですが、基本的には40年以上にわたりこの国の食糧自給率は右肩下がりで来ています。
 「先進国では例をみない」「このような食糧自給率では独立国とは言えない」等と識者や新聞、農水省に農協が笛や太鼓で賑やかに警笛を鳴らしていますが、根本的に何ら改善されることもなくこの国は飽食の21世紀を迎え、多くの国民は「食糧自給率40%割る」は遠いよその国の問題と、日々我が身の肥満や毎日大量に出る「食べ残し」の処理に頭を悩ませています。
この国は「食糧自給率40%割る」かも知れませんが、日々の食料充足率は優に100%を超えて、多くの国民は飢えに苦しむより肥満に悩み、多くのお金と時間を費やしダイエットに励み、汗を流しているのが笑えない現状です。
 北朝鮮や一部のアフリカの食料貧困国の話を持ち出すまでもなく、水は低きに流るように、食べ物は食糧自給率に関係なくお金のあるところに集まります。その事を多くの国民は知っているようです。
 飢えより肥満を悩み、「食べ残し」などの大量のゴミに喘ぐこの国で「食糧自給率40%割る」の何が問題なのでしょうか?私には答えられそうで、答えられない問題です。
総論として多くの農家も都市住民も日本の食糧自給率の低下を憂い、この国の食糧安保を確保するために、国家は40年以上にわたり莫大な農業予算を使い(農家のための予算だったか問いただす必要がありますが)、その結果が「食糧自給率40%割る」です。日本の農業者の減少に歯止めがかからず、そして農村は疲弊して山河が荒れた40年間でした。今までのような農水省や農協の音頭で、どれだけ予算をかけても日本の食糧自給率は改善されないことを証明した40年とも言えます。
 それなのに定期的に日本の食糧自給率が問題にされます。「農水省と、農協の陰謀ではないか」とへそ曲がりの私は思ってしまいます。この「食糧自給率」問題は、農水省や農協が国からの予算獲得のために使う便利な数字のように思えてしまう今日この頃です。
ただいま夏バテ中