企業の農地借用

企業の農地借用、来年度にも自由化…戦後農政を転換へ
 農林水産省は22日、企業の農業参入を促進するため、株式会社などによる農地の借り入れ制限を原則撤廃する方向で検討に入った。2006年度の食料自給率(カロリー換算)が13年ぶりに40%を割り込むなど、農産物の国内供給体制が弱まる中で、企業の力を活用して、規模拡大と競争力の強化を促す狙いだ。農水省は今秋にまとめる農地改革の柱とする考えで、来年の通常国会農業経営基盤強化促進法などの関連法改正案を提出し、08年度中にも実施したい考えだ。戦後の農地政策は、農家が自ら耕作者となる「自作農主義」が根幹となっている。実現すれば戦後農政の転換点となる。24日に農水省が開く有識者会議で検討が始まる見通しだ。現行法では、企業による農地借り入れは、耕作放棄地や耕作放棄されそうな農地が「相当程度存在する地域」(指定区域)という条件がついている。昨年末時点で区域を指定している市町村は600に過ぎないうえ、こうした区域は水利が悪く、出荷が不便な山間地なども多いため、不評だった。このため農水省は、指定区域の条件を撤廃し、優良農地の貸し出しも認める。また、企業が安定して農業経営をできるように、農地を20年程度の長期にわたって借りられる定期借地権制度も導入する。農家は一般に農地を長期で貸し出すことに不安が強く、現状の貸借期間は平均6年程度にとどまっている。借地権に明確な期限を区切る定期借地権が導入されれば、企業の長期・計画的な農地利用が可能になると期待されている。一方で、企業の進出に対する農業関係者の警戒感にも配慮し、農地の所有については農家以外に認めない原則は堅持する。地元の市町村に対しては、企業に貸す区域を指定する権限は残す方針だが、農水省は「農業従事者の高齢化と後継者不足、耕作放棄地の拡大といった問題が深刻化しているため、指定区域は今後広がっていく」と見込んでいる。企業による農地借り入れは、05年から全国で認められているが、企業数は10年度目標の500に対し、07年3月時点で206にとどまっている。
 企業が借りている農地の面積は595ヘクタールと全農地の0・01%程度に過ぎず、制度活用が課題となっていた。
(2007年8月23日3時4分 読売新聞)

ちょっと長い引用になりました。
 旧ソビエト連邦の「官僚の管理と汚職社会主義と言う名の非効率な全体主義」より今の自由主義経済は「まだ良い」と思います。しかし、無くならない土建会社の談合、雪印食品、ミートホープ社等の食品犯罪。その犯罪の大小は別にして、企業は他社と競争し(弱肉強食、ばれなければ「やった者の勝ち」と言う競争で、公平な競争とは言えません)、最大の利益を求める組織集団である限り、自由主義経済では「企業の違法行為」は必要悪のようです。そして「自由」と言う名の元での乱開発は、地球に回復不能のダメージを残しています。現代の企業は労働者にも、消費者にも、地元にも、環境にも不誠実になり、だだひたすら「利益」に自己の存在を証明しています。このままではこの地球自身も、私たちの日常も持続不可能のようです。新たな公平な経済システムも生まれず、しばらくの間は「自由主義経済という、強者のためのシステム」に私たちは付き合っていかなければなりません。
この自由主義経済の最大の欠点は「収益の上がらないことは切り捨て、弱者に押しつける」かと思います。
自然を相手に、生産も、販売価格も不安定で不確かな農業の企業化は、成功しないと思います。現在、いくつかの農業法人の成功例が報告されていますが、その多くは補助金で厚化粧しているか、サービス業などの第3次産業で収益を確保しているのが現状のようです。世界中の農業の企業(農作物の生産)で、そこに働く人たちがトヨタやNTT,そしてソニーの社員のような待遇を得ている会社はあるのでしょうか?
 多くは、現地の人たちを農奴のようにこき使うか、違法移住者の弱みにつけ込み、最低賃金を下回るお金で雇用しているのが世界の農業企業の現状と思います。
このことから考えても、農業の企業化は安定した収益には結びつかず、農作業の効率化、生産物の価格の低下には繋がらないようです。それが農業です。
農業企業は儲からないところは環境に押しつけ、日本の環境の悪化に繋がります。そして資金繰りが続かない農業企業は倒産して、今以上の荒れ地を増やしてしまうように思えます。