卵の賞味期限  (2)

 本来、卵は雛が孵る生きた食べ物です。
 昔の鶏は3週間ほどかけて自分の身体で抱ける卵を産み(12−3個)、その後約3週間ほどで雛が孵ります。そして2ヶ月ほど母鶏は雛を育てて、雛は独立して、母鶏はまた卵を産み始める。鶏は生き物としてその繰り返しを行うのが「本来の」姿です。
 それが現在の雌鶏は改良され、雄との性行為に耽ることも、卵を抱き「子供」を育てることもできない生活を強いられています。これを人間の目で見ますと「改良、効率化」と言うのですが。
 鶏は産んだ卵から直ぐに抱き始めるのではなく、大体の数が産み終わってから(これが約3週間ほどです)卵を抱き始めます。このことからも分かるように、通常は常温でも3週間ほどは卵の鮮度に問題は生じないものです。
 卵は通常、卵殻の外側をクチクラ層で(産卵直前に輸卵管より分泌された粘液が乾燥した卵殻膜)覆われ「サルモネラ菌」等の細菌の侵入を防ぎます。
 しかし現在売られている卵の多くは、卵を洗卵してクチクラ層を剥ぎ取り、その後消毒(塩素殺菌)をしています。一見卵は清潔そうに見えますが、クチクラ層を剥ぎ取られた卵は消毒後の細菌の侵入には抵抗力が弱くなり、流通時や家庭での汚染に耐えられなくなっています。
 我が家では基本的には卵は洗卵しないようにしています。産卵時の破卵よる黄身や白身の汚染など、特に汚れがひどい卵は(数%以内です)温水で洗卵しています。卵殻には沢山の気孔があり、汚染された卵の細菌はその気孔を通り2ー3時間で卵内に入ると言われ、汚染のひどい卵は洗卵した方が衛生上良いようです。
 クチクラ層の次は卵殻(殆どが炭酸カルシュウムでできています)が卵を守っています。
 鶏の卵殻には、気孔と呼ばれる小さな穴が7,000〜17,000個もあります。この気孔が有精卵が成長するときに必要な酸素を取り入れ、内部で発生した炭酸ガスを排泄する「ガス呼吸」を行っています。この「ガス呼吸」が、ゆで卵に比べて生卵の鮮度が長く保たれる秘密のようです。
細菌の侵入を防ぎ「ガス呼吸」をしている大切な鶏の卵殻ですが、近代養鶏は過度に鶏の産卵個数を増やしてきたために、卵の卵殻は極端に脆弱化しています。ケージ飼いの鶏の卵の卵殻は非常に弱く、破卵率は一説では1割を超えているとも言われています。(我が家では0.5%以下です)
 本来ヒビなどの破損がなければ、クチクラ層や卵殻に守られる卵は腐ることはないのですが、この頃は常温に数日おいただけで黒く(腐敗が進んでいる)なる卵が多いようです。また流通での破損卵は(通常は産卵後の破損卵は取り除かれていますので、購入時の破損卵は流通時の破損と考えて間違いはないです)腐敗が特に早く問題を引き起こします。