悲しいリンゴ農家

「今日のブログは休み」と決めていたのですが。(笑)
 今日の朝日新聞の社会面に『リンゴ農家借金苦・心中未遂に減刑嘆願』と有りました。「リンゴを作っても作っても返せない」借金の重みに耐えかねた農家の主婦の犯罪に、農業経営の苦しい思いを共有する地元のリンゴ農家の『減刑嘆願書』署名運動について書いてありました。
 その農婦の『罪と罰』については法曹界が判断することで私には分かりませんが、『減刑嘆願書』の署名運動に動いたリンゴ農家の気持ちは、同じ農家として思いを強く共有します。
このような「借金苦」からの不幸な話はこのリンゴ農家に限った話でなく、ミカンなどの果樹農家、そして畜産農家からも聞こえてきます。
 多くの養鶏農家もこのリンゴ農家と同じような状況にあり「やめることが出来る(借金を精算できる)養鶏場は幸せ」と言われる世界です。
多くの養鶏場は(企業養鶏です。我が家のような小さな養鶏農家は、借金をしたくても何処も相手にしてくれません)飼料会社からの借金で何とか経営しているのが現状です。売上もいったん飼料会社に入り、そこから必要なお金を「飼料会社に伺いを立てて」出して貰います。働けど、働けど借金は減らないシステムになっています。江戸時代の小作と同じ状態です。
「農業の規模拡大、経営合理化によるコストダウン」などと経済界から言われます。しかし日本の土地条件や気候風土では、アメリカやオーストラリア型の大規模農業は不可能です。また強引に農業の企業化を進めますと、企業は目先の収入にとらわれ農薬や除草剤の多用が懸念されます。日本のような狭い国土ではそれらの農薬による汚染による住宅地への影響も大きいと思います。
 そして日本では、中国や東南アジア諸国と同等の農業資材費や人件費には出来ません。しかし日本の農家はグローバル化等という便利な言葉で、アメリカや中国などの農作物と価格競争させられます。日本の農家も今以上に経営感覚を持ち、日々の努力を惜しまず頑張らねばなりませんが、これら農作物の価格差は農家個人の努力で補える価格差を超えています。
農業が持つ地域社会への貢献、地域経済への影響、地域環境、そして水や空気を通して日本全体の環境への影響などを考え、「日本に農業が必要なのか?必要なら日本の農業をどの様に保護、維持していくか」を日本中で真剣に考えて欲しいです。
雨上がりの薔薇