(4)狐

1970年代から松食い虫で枯れた松に変えて、杉や檜が多く植林されました。植林された杉や檜の苗を野ウサギの食害から守るために、営林署が狐を里山に放したと言われています。同時期に市町村で野良犬撲滅対策がとられ、狐の巣穴を荒らして子狐を殺す野良犬は激減したために狐が増えたようです。「人為的に個体数を増やし、天敵を削除すれば自然界のバランスが崩れる」自然界の法則です。
 その増えた狐が我が家の鶏をねらい「招かざる客」として鶏舎に現れます。
毎年、狐が鶏舎に来るのは10月頃から翌春の新しい子供たちが育つ5月の初旬頃までです。狐(ホンドキツネ)は夜行性と言われていますが、我が家に来る狐の行動時間を見ていますと、狐は日の出の1時間程と日の入りの1時間程が餌を確保する行動時間のようです。狸は夜中の丑三つ時に鶏舎に来ますので、鶏の騒ぐ時間で鶏舎に来たのが狐か狸か分かります。
 狐は殆ど単独行動です。金網に直径10cmほどの穴を開ければ(要するに狐の頭が入れば)鶏舎内に進入できるようです。鶏舎の下の方で穴の開く程弱い金網が見つからないときは、鶏舎によじ登り金網の弱いところを見つけて侵入を計ります。
狐が我が家の鶏を狩りに来る時間帯は、鶏もまだ目がうっすらと見える時間帯です。(鶏は鳥目です、暗くなると殆ど見えません)そして狐は狸と違い単独で狩りをするため狐が鶏舎に侵入しても、鶏の被害は盗まれた(食べられた)鶏は1羽で済むことが多いです。
 母親狐(?)なら鶏舎から鶏を持ち運びます。よく観察しないと狐に鶏を捕られたことを見逃すほど、証拠を残さない狐の完全犯罪です。鶏舎の周りに狐の足跡を見つけたら、鶏舎の金網に穴が開いていないかじっくり調べます。金網の穴を見つけたら近づき、臭いで確認します。なんと表現したらよいのか分かりませんが「非常に獣臭い」臭いがします。そして金網の周りに狐の毛が付いていることが多いです。雄や、子狐(?)は鶏舎内で食べ散らかしていきます。
 美味しい獲物が簡単に手にはいるとなったら、狐は毎日のように来ます。狐に進入されたことに気が付かず、穴の開けられた鶏舎をそのままにしておきますと「あれ、この頃卵は少ないし鶏も少なくなったような気がする」などと、間が抜けた話になります。秋になりますと、我が家では鶏舎の金網の弱いところを見つけたら、早急に修理します。