ムラの領土問題

「ムラの領土問題」などと書きますと、隣国と紛争になっている「北方領土竹島尖閣諸島」について、村の集落センターなどで酒を飲み交わし、「日本の領土問題」を酒の肴に喧々諤々に話をした事と勘違いされそうですが、正確には「ムラの敷地境界線争い」のお話です。
「隣の塀の崩れる音は、ぼた餅の味」とムラでは昔から言われていますが、隣家とは何かと諍いが起きるものです。ムラでは隣近所は選べません、家、田畑を持って引っ越す事もできません。妬み、いがみ合いながらも「遠くの親類より近くの他人」とも言われるように、よそからの頂き物や農作物のお裾分け、留守番、借り物と何かと助けになるのも隣近所です。
大きなムラ(大字ほどの区割りです)では、指の曲がった者(手癖の悪い人、警察のお世話になるような他人の家の金品は取らないのですが、農作物や、農業用資材をくすねる人)、ごちゃっぺな人(ろくでもない人間、道理が通らない人)は「一人、二人はいるもの」ですが、運悪くその人たちと家や、田畑の境界で関わりますと、これはなかなかたいへんです。
「指の曲がった者」については、基本的には「悪い事をしている」と言う意識がありますから(でも欲求を抑えられないようです)こちらが注意して対応すればほとんど問題は起きないものです。問題は「ごちゃっぺ」な人です。
 「ムラの敷地境界線争い」の結果、測量費をかけてまで争うほどムラの土地の値段は高くありませんし、通常は市の土地謄本やムラの古老達の話を聞き、常識的な話し合いで「ムラの敷地境界線争い」は落ち着きます。もめるようなときは、本家筋や昔の地主筋の方が中に入ってまとめてくれます。
 「ごちゃっぺ」な人は「田畑の境界の石を動かしたり、境界の木を切り倒し境界を無視をしたり、家の塀を作り直すときにブロックの厚さ分だけ隣の家の敷地に出したり」と 自分勝手に行動します、本家筋や昔の地主筋の方の話を聞きません。正論や道理が通りません。時間と金がかかる裁判もムラには馴染みませんし、「ごちゃっぺ」な人間の性格までは変えられません。
 「ブロックの厚さの15-20cmだ、我慢しよう」などと考えてはいけません、このような「ごちゃっぺ」な人は文句を言わない限り、土地だけでなく色々なことで手を変えて次々に難題を吹きかけてきます。
本家筋や昔の地主筋の方が中に入っての話し合いも駄目、法的な市役所の土地登録簿を見せても無視をする、思いあまって暴力事件が起きる事もあります。暴力はいけません、「ごちゃっぺ」な人は自分の非は認めませんから、何ら解決しません。暴力がエスカレートして最悪は警察のお世話になる事になります。
 動かされた境界の石は元に戻し、隣家が塀などを直すときは立ち会い、言うべき事ははっきりと言い、「ごちゃっぺ」な人には毅然とした態度で挑むのが最良だと思います。
 毅然とした態度は隣家ですので何かと日常にゴタゴタを招きますが、最後は「遠くの親類より近くの他人」の言葉が生きてきます。「弱い、付け入る隙がある」と思われるから
「ごちゃっぺ」をされるので、毅然とした態度が最善の対応になります。
 それで駄目なときは隙を見せずにじっと我慢して、心の中で「早く死んでくれ」と祈りつつ、次の世代に期待するしか方法が無いようです。