ウイルスによる鶏病(2)

 鶏病は大きく分けてウイルスによる鶏病、細菌性の鶏病、内外虫、栄養障害の4タイプに分けられます。
 大腸菌症、鶏のサルモネラ症、クロストリジウム感染症等の細菌性の鶏病は、抗生物質などの薬に頼らずに鶏の管理の適正化(要するに鶏を大量に狭いところに閉じこめストレスを与えない、鶏を生き物として敬う)、餌の発酵菌化、雛の健康な育成、汚染養鶏場との交流の注意などで防ぐことが出来ます。
 野鳥などから持ち込まれる原虫によるコクシジューム症、鶏回虫などの鶏の内部寄生虫、ワクモなどの外部寄生虫は育雛時の雛を健康に育てることにより餌効率の低下はありますが、鶏の死亡などを防ぐことが出来ます。これらの病気は薬による鼬ごっこはやめて(薬で病気を根絶することは至難です)健康な雛を育てることにより『病気との共存』を考えるべきかと思います。
鶏の栄養障害は、基本的な鶏の栄養学、飼料製造学を学ぶことで防げます。養鶏を生業にするなら基本的な養鶏について学ぶのは当たり前のことです。養鶏の知識もなく、思いつきだけで『安全、自然』などと消費者に誤解を与える(消費者の錯誤を積極的に期待する)ような卵の販売は慎むべきです。
 さて最後にウイルスによる鶏病です。多くのウイルスによる鶏病はワクチンが製造され、多くの養鶏場では利用されています。しかしワクチンには問題も多いと思います。
 ワクチンの使用が日本では禁止されている鳥インフルエンザ(H5N1)と言う有名なウイルスによる鶏病も有ります。この病気に鶏が罹ったなら、多くの鶏は死にますし、生き残った鶏も法律で淘汰(要するに殺すことです)しなければなりません。
 ワクチンがウイルスによる鶏病を100%防ぐわけではありませんし、ウイルスの変異株を新たに作ることもあります。鶏の廃鶏時の不活化ワクチンによるオイルアジュバンド問題も曖昧なまま放置されているようです。
 一番の問題は多くの養鶏場はウイルスによる鶏病についてワクチンに頼りすぎ(ワクチンだけでなく抗生物質などの多くの薬に頼りすぎなのですが)、基本的な養鶏場の衛生管理、鶏の健康管理、鶏への思いやり、養鶏の知識などの欠如が大きな点だと思います。
 鶏は卵や万札を産む機械ではなく、私達人間の命の糧である卵や肉を提供して、私達の保護の基で共存する可愛い生き物だと言うことを再確認する必要があると思います。
私がここで養鶏を始めてから24年間が経ちます。農場にはコクシジューム症と鶏回虫、ワクモがいますが、薬を使わなくてもこれらの病気で鶏が死ぬことは殆どありません。不快ですが。
 24年間、ワクチンや抗生物質などの薬、合成アミノ酸、合成ビタミンの世話にならずに鶏を飼ってきました。
 例外として、法定伝染病のニューカッスルの生ワクチン(万が一、ニューカッスル病が発生しますと私の農場だけでなく、多くの農場に迷惑をかけます。それ故に法定伝染病になっています)と鶏病の侵入を防ぐために(抗生物質等の薬に頼らないために)廃鶏時に使う車や餌屋の車を消毒するために県の保健所から頂いた逆性石鹸は使っています。