鶏種の変更

今日、雛が来ました。今回の雛からゴトウの『もみじ』に鶏種を変えました。
 十数年来、アメリカのハイライン社で育種開発されたボリスブラウンの雛を千葉の孵化場から導入していたのですが、今回の東日本大震災で孵化場が被害に遭い(孵卵器の故障、孵卵器内の卵が割れてしまい、震災後の雛の注文の予定が立たなくなったようです)、昨年から注文していた5月の雛はキャンセルされました。
 ボリスブラウンは日本で一番多く飼われている『赤玉系の鶏』で、餌効率、産卵率、卵重、卵殻色に優れた鶏です。私が飼い始めてからの十数年でも、初産日令は1−2週間速まり、年間の産卵数も5−10個ほど増え、卵重は1−2g大きくなり、そして鶏が毎日食べる餌の量が数グラムですが確実に減っています。
 初産日令が速まり育雛時の管理費、餌代が軽減され、産卵数や卵重の増加により売り上げが増え、給餌量の減少により経費が減る、、、、養鶏家にとっては「夢」のような鶏です。その「夢」のような鶏が、動物の品種改良としては瞬時の時間と言える十年、二十年でなされています。原種鶏場(アメリカのハイライン社)のたゆまない品種改良の努力の結果でしょうが「不可能を可能にした」鶏とも言えます。
 このようにボリスブラウンは優れた鶏で、私も十数年来飼い続けこの鶏の癖などを身体を通して学んでいますので、鶏種を変えるのは少々の決断が必要でした。
単なる千葉の孵卵場からの雛の注文のキャンセルだけでしたら、今回被害がなかった西日本のボリスブラウンの孵卵場から雛を導入することもできたと思いますが、ここ数年来、ボリスブラウンの品種改良の行き過ぎに対する養鶏家としての不安と疑問が私の心の中に芽生え、新しくゴトウの『もみじ』を導入する決断をしました。
昨年の5月に導入したボリスブラウンの雛は(我が家は年に1,5,9月の年に3回雛を導入しています)今まで以上に身体の小さな鶏で経済的には一段と改良されていますが(育雛時の餌が少なく、産卵時も少ない餌で卵を産み、餌効率が良くなる)、弊害も目立つようになってきました。
 弊害の第一として、餌効率などを中心に品種改良が進みすぎたたためか、鶏の喧噪性(要するに、うるさく喧嘩早い鶏です)目立ちます。ケージに鶏を閉じこめておくなら何とかなるのでしょうが、我が家のような平飼い養鶏では鶏たちが虐めあい、痛めあい、飼いにくい鶏になりました。
 弊害の第二として、鶏の身体が小さくなったために体力に余裕が無く、暑さ寒さの気温の変化、暴風雨などの自然界のストレスに弱い鶏になりました。
 自然界のストレスから鶏を守るウインドレス鶏舎なら(要するに自然から隔離して、太陽光も自然な風から隔離する)問題は起きにくいでしょうが、我が家の鶏のように暑さ寒さ、暴風雨にさらされる環境の鶏たちは、自然界からのストレスで産卵率に影響が出やすくなりました。
そしてマレック病などの鶏病にも弱くなっているようで、品種改良により鶏が本来持っている強健性が犠牲にされているように思えた鶏です。
 勿論、上記に書いたことは私の浅はかな知識と、そして我が家のように小さな養鶏場のわずかなデーターと、私のにわとり屋としての「感」です。断定するようなことではありません。ゴトウの『もみじ』が良い鶏でありますように。