食事

 我が家の夕食の準備は当番制です。週に妻と嫁と私が各2回、長男が1回です。各自が家にある野菜や前日の夕食と同じ物にならないように考えて料理を作っています。
 毎日では負担になりますが週に1−2回の食事担当ですので、1回の夕食の準備に平均6−90分ほどの時間をかけています。
 先日読んだ本には「イギリスの家庭が夕食の準備にかける時間は7分」と書かれていました。一瞬「?、70分の校正ミスだな」と納得しつつ本を読み進んでいきましたが、7分で間違いないようです。
 「テレビ・ディナー」と総称されるレンジで「チン」の夕食です、「テレビ・ディナー」は素材を購入して労力をかけて作る料理より安く、経済的との話です。ただ「テレビ・ディナー」では値段や、保存、見た目を考えて、新鮮な緑黄色野菜や果物はあまり使われないようです。健康に気をつけている人達は、「テレビ・ディナー」では不足しがちなビタミン等は補助食品で補充するとのことです。 
 ボタンを押して各自が好きな宇宙食のようなチューブの食事を取り出し、食べながら(飲みながら?)テレビ電話で友達と会話して、空飛ぶ自動車で学校や職場に出かける・・・私が子供だった頃の漫画に描かれた社会を現実が追い越しつつあります。子供の頃は「すごい」とまだ見ぬ未来に目を輝かしていたのですが。はて、さて、これで良いのでしょうか?
 基本的には「良い、悪い」と議論することではなく、価値観というか想像力の問題かと思います。
 食事を作ったり、後かたづけをする時間は無駄な時間なのでしょうか?(「テレビ・ディナー」なら、ゴミをポイ捨てして、食器を洗う手間も省けます。極端に言ったら、台所という空間を必要としない生活ができます)
 家族団欒は鬱陶しい空間なのでしょうか?(ホームドラマのような「きれいで暖かいだけの家族団欒」はちょっと現実的ではありません。家族団欒を維持するために、嫁を中心に家族のそれぞれが自分の我を抑え家族団欒を守ってきたのだと思います。そして家族の絆を確認する場としてそれだけの価値があったはずです)
私たちは本来職場に置いてくる物である経済合理主義を家庭にまで持ち込んでいます。 そして私たち自身の生活を息苦しくしているように思えるこの頃です。