今年の夏の鶏

  2010.09.15発行
 農林水産省は9月3日、今年7月1日から8月15日日までの暑熱による畜産関係の被害状況をまとめた。猛暑による全国(口蹄疫の発生で情報収集が難しい宮崎を除く)の死亡状況は、採卵鶏が13万6000羽、ブロイラーが28万9000羽、乳用牛が959頭、肉用牛が235頭、豚が657頭。
 これを猛暑の年であった平成二十年(昨年は冷夏で調査なし)と比較すると、採卵鶏は2.44倍、ブロイラーは1.7倍と大幅に増加した。乳用牛は36.4%増、肉用牛は9.3%減、豚は24.7%増。地域別には、東海以北での熱死被害が多くなっている。
(鶏鳴新聞 )


 雨、雨、雨。今日は待望の雨です。やっと涼しくなりました。
 今年は猛暑、猛暑の夏でした。
 今年の異常な暑さで多くの鶏が、牛が、豚が死にました。「この暑さでは、毛皮を着ている鶏は死ぬよなー」と思いつつも、家禽、家畜が暑さ寒さなどの自然のストレスに年々弱くなっているように思えます。
 「産卵数を、餌効率を、搾乳量を」と家禽、家畜は人間にとって便利なように年々改良(悪)され、神から授かった生き物としての強さを削り取られているように感じます。
  日本で飼われている家禽、家畜とは品種は違いますが、暑い東南アジアやアフリカ、インドで鶏や豚、牛も元気に生きています。
 「この暑さでは、毛皮を着ている鶏は死ぬよなー」は私の鶏に対する傲慢な思いこみかも知れないと思い、今年はちょっと頑張ってみました。
 ケージに入れられた鶏と違い、体力もあり、日陰に逃げたり、砂浴びができる我が家の鶏は暑さでは死にません。夏の猛暑のためで鶏は死にませんが、餌の食い込みが落ちて産卵率は10%ほど下がり、卵重も5%ほど軽くなります。卵は全体にやせ細り、プロの養鶏家を自認している私は「販売するのを躊躇する」卵が増えます。これが例年の夏でした。
 例年なら6月後半から動物性蛋白を(cp65)6.5%にして、梅雨明けとともに7%に上げていたのですが、今年は鶏の体力をつけることに重点を置き、6月早々から7.5%まで動物性蛋白率を上げました。 それでも卵重の落ちが目立った8月には8%まで上げました。
 結果は、産卵率の低下は3−5%、卵重の低下は3%以内で収まり、例年になく自信を持って販売できる卵が多かったです。
 ただ問題もありました、例年のように産卵率が10%ほど下がると考えて鶏の羽数を調整して、販売する卵の数を過不足無いように計画を立てていましたので、今年の夏は全体に卵があまり気味でした。卵が余っても、足らなくても悩むのが自家販売している養鶏場の宿命です。