<農業従事者>75万人減の260万人 高齢者の引退本格化

毎日新聞 9月7日(火)20時23分配信

 農林水産省が7日発表した10年の農林業センサス(速報値)で、農業人口の減少が加速化している実態が明らかになった。農業を本業とする農業就業人口は05年の前回調査から75万人減って260万人になり、減少率22.4%は比較可能な85年以降で最大。長らく農業の主役だった昭和1けた世代の引退が本格化したためだが、若手農家や農業法人が農地を引き継ぎ、経営規模を拡大する前向きな動きもある。今後は農家減少を前提に、農地の集約を推し進めることが課題になりそうだ。

 農業就業人口が90年の482万人から20年間でほぼ半減したのは、引退する高齢者の数に新規就農者数が追いつかないことが大きな要因だ。就業者の平均年齢は65.8歳と5年で2.6歳上昇し、初めて65歳を超えた。

 ただし、農業人口の減少は必ずしも農業の衰退を意味しない。引退する人の農地を将来性のある農業者が借りるなどして経営規模を拡大すれば、むしろ体質が強化される側面もあるからだ。今回の調査でも、法人を含む経営体の平均経営面積は2.2ヘクタールと、5年前より0.3ヘクタール増えた。

 しかし、引き継いだ農地が方々に分散し、かえって効率が悪化するケースも少なくない。農地の「出し手」と「受け手」を結びつけ、農地の整備や権利調整を一体で進める自治体や農業団体の取り組みが重要となる。

 増勢は鈍ったが、耕作放棄地が前回より1万ヘクタール増え、40万ヘクタールに達した点も懸念材料だ。調査は農家の申告ベースで、宅地や山林などに転換された分は反映されていないため、農地荒廃の実態はもっと深刻との見方もある。

 農水省は09年度で40%の食料自給率(カロリーベース)を20年度に50%に引き上げる目標を掲げているが、それには08年で92%の耕地利用率を二毛作も奨励して108%に高める必要があると試算している。当然、耕作放棄地は解消が前提だ。

 調査結果を受け、山田正彦農相は7日「農業者戸別所得補償制度の本格実施を急ぐ」と述べたが、同制度には小規模農家の温存や農地の「貸しはがし」を招くといった弊害も指摘されている。農業基盤を強化するには、農地の面的集積と新規参入を促し、農家の流通・加工進出を支援するなど、就業人口が減少しても農業経営が成り立つ複合的な施策が必要だ。【行友弥】

・・・日本の労働人口の約3%の260万人で、それも殆どが兼業という片手間農業、そして農業の現場で頑張っている人達の平均年齢が約66歳。この現状で日本の自給率の約40%(カロリーベース)を維持しているのは、奇跡です。農家をほめてください。