新規就農者 (1)

 最近は農業が色々なメディアに取り上げられ、農業ブームのようです。
 農業が3Kなどと言われ、嫌われ、暗いイメージだった頃に比べて、これは、これで私は良い事だと思っています。
 上司に文句は言われない、ノルマが無い、ギスギスした人間関係にはおさらばできる。
 お日様の下で種を蒔き、双葉が出るのに感動して、出来た作物を味わう農業の醍醐味は格別です。人間が一万年以上に渡り楽しんできた生業です。
 経営と言うか、収入を考えないと農業は魚釣りやキノコ取りと同じく、楽しさが私たちの遺伝子に組み込まれていると思います。
 こんなに楽しい生業なのに、農業を取り巻く状況は、離農、後継者不足、高齢化、農地の荒廃と暗い話に終わりが無い世界です。
 なぜなんでしょうか? 
 これらの農村、農業が抱える問題の底辺に流れるのは、サラリーマンの1/3ぐらいと言われる農業の収入の少なさが大きな原因だと思います。
 中国からの輸入野菜やスーパーの安売りなどで、農家の収入が年々減っているのが現状です。農業、農村を取り巻く状況は、むしろ、悪化しています。これが都会の人達に農業が見直されている現在の、偽らざる農村の現実でもあります。
「生活が成り立たない」が一番の問題のようです。
このように経済的に苦しい農業がなぜか都会の人達に見直され、農業ブームなどと言われています。
 今回の「農業ブーム」は農村、農業を取り巻く環境が改善されたのではなく、都会の文明と言いますか経済活動が行き詰まり、「息苦しい都会と違う生き方」と都会にかわる代替えとして農村、農業に光が当たっているようです。
 右肩あがりの経済の行き詰まり、地球温暖化、「リストラ、派遣社員」と企業社会への幻滅、ストレス、悪化する環境、鬱、自殺、と便利、快適を追求してきた現代文明の陰の部分が抱えた問題からの反省が、農業のもつ、人間性を含めた多面的な価値が「都会の人達に」見直され始めたのだと思います。
 都会からの一方的な「農村、農業」への思い込み、憧れの面もあります。
 「農村、農業の生活が見直された」と言うよりも「都会の生活が行き詰まってきた」と言った方が正解のようです。「民主党政治が見直されたと言うよりも自民党の政治が行き詰まった」と評論家の先生達が言っていた今回の選挙のようですね。