にわとり屋の師走

 例年のことですが、卵が足らなくて走り回るたまご屋の師走です。「1日に5回も6回も鶏舎に足を運び、産卵箱の中の鶏の尻に手を当てて卵が産まれ落ちるのを待つ」そんな喜劇のような日常が続く師走です。
 「卵が足らないなら、鶏の羽数を増やしたら」とお客さんや知人に言われます。いつもの月より2割ほど多く売れる師走に卵の数を合わせますと、師走を挟んだ11月や1月は卵が余ります。可愛い我が家の鶏たちが産んでくれた卵を捨てることは出来ません、産卵後の日にちが経った卵をお客さんに販売できません。
 日曜、月曜に産卵された卵を月曜のお客さんに配達して、火曜、水曜日の卵は水曜日に配達、木曜、金曜日の卵は金曜日に配達、土曜日は近くのお客さんに配達で7割ほどを地元で販売しています。残りは宅急便と、農協の直売所、デパートです。日、月の卵が少し残り火曜日に回されることがあります。そのために、僅かですが火曜と木曜日も配達しています。基本的には「当日か前日産卵の卵をお客さんに販売する」(卵が余り気味で、前々日の卵の時もあります)を基本として今日まで卵を販売しています。
鶏は機械ではなく、寒さや暑さや年齢で産卵数が変わります。古い鶏と産み始めの鶏との切り替えの時が卵の産卵数に大きな違いが出ます。お客さんの購入する卵の数にも変更があります、飛び入りで農場まで卵を購入に来る方もいます、せっかく農場まで来ていただいた方を「卵がない」追い返すことは出来ません。
 「そんな、こんなを計算して」鶏を導入しているのですが、年に半年程は産卵数と販売数がちょうど良くたまご屋の心の平和な日々が続きます。三ヶ月ほどは卵が余り気味、残りの三ヶ月は卵が足らなくなります。「商いは飽きない」です。