今年は豊作貧乏

 世間は「倒産、リストラ」の嵐が吹き、暗いニュースの多い年の瀬です。昨日テレビを見ていたら「自動車会社をリストラされた派遣社員生活保護を申請して認められた」とニュースが流れていました。リストラが直ぐ生活保護に繋がる余裕のない今の社会に不安を感じます。
 農家は全般に今年は豊作貧乏のようです。今年の日本は台風にも直撃されず、甚大な被害の出る自然災害も少なく、暖かな冬を迎えています。今年は天候に恵まれ、米も野菜も果物も豊作です。「カムイ伝」の江戸時代の百姓なら、飢えないで冬を迎えられることを喜び、豊作をもたらしてくれた神々に感謝して、餅でもついて村の幸せを祝う年かも知れません。
現代の百姓も「豊作」を喜びます。しかし手放しに喜べないのが現代の百姓の悲しみです。百姓は農作物を作りそれを販売して、貨幣に換えて必要な物を購入します。百姓が農作物の値段を決められるなら豊作も手放しで喜べるのですが、農作物の値段は「市場」で決まります。豊作は農作物の「市場」の値段を下げ百姓を泣かすことが多いです。「農作物を出荷すればするほど赤字が増える」泣く泣く自分が丹精して作った農作物をトラクターで踏みつぶしたり、捨てることになるのが豊作の年です。
 燃料、資材、肥料の値段が上がっています。昨年より経費がかかるようになり、収入が伸びない、今年の豊作貧乏は百姓にとっても厳しい年の瀬です。