「農業が儲かる」と言う本

 昨日の続きのようなお話です。
 社会全体が不景気で「サービス残業」「名ばかり正社員、管理職」などと労働者の労働環境の悪化が著しいです。このような厳しい企業社会から抜けだす一つの方法として、農業が注目されています。多くの人達が農村に移り住むことにより、都市への一極集中や農村の過疎化問題が緩和されれば幸いです。
 ただ少し気になるのは「農業が儲かる」、「農業で儲ける」などと現実の農村、農業とかけ離れたような景気の良い本が目につきます。この様な口当たりの良い言葉で農業を志し、夢破れて経済的に破綻を来して不幸になることは避けて欲しいです。私が知る限り、「儲け」を求めて農業に参入したサラリーマンの殆どは経営的に成り立たずに破綻を迎えたか、破綻の途中で喘いでいます。老婆心ながら、ご注意願います。
 「農業で1000万円稼ぐ法」(週二日だけ働いて1000万円稼ぐ法) 農作業というとハードワークで、低収入のように思われがちですが、たった週2日の農作業で高収益の農家になることは可能です。
株式投資で2000万円の損失を被り、親の介護のため出世をあきらめて帰郷したサラリーマンが、1年目に400万円だった利益を3年で1000万円へと爆発的に増加させたのです。
これまでの田舎暮らしやエコ農業とは違った、農業経営のノウハウを伝えます。農協への加盟の仕方、土地の取得、農機具の入手方法、高利益作物の選定方法など、なるべくお金をかけずに高収益を実現する方法を、実体験を通じて具体的に解説。
農業経営は、成功をつかむ夢のある仕事なのです。初めて就農する人だけでなく、農家の跡を継ぐのが嫌な人などにとっても、目からウロコの内容です。(アマゾンのブック紹介より)
 農で起業する!―脱サラ農業のススメ (単行本) 杉山 経昌 (著) 中国の農薬問題、世界的な食糧価格高騰など、いま農業に注目が集まっています。しかし、規制だらけの日本では、大手企業が農業に入り込むことはできず、昔ながらの農法で売れないものばかりをつくっている農家がほとんどの状態。この歪みを狙って、的確なマーケティングと効率的な生産管理などを行えれば、誰でも簡単に農業で成功できるのです。経験を積まなければ、農業は成り立たないのか?「感覚」や「感じ」「雰囲気」のような曖昧な領域であった農テクニックを、誰でもできるようにマニュアル化し、ビジネス的シミュレーションによって、成功にみちびく!めざすは、週休4日、上司のいない農家生活!外資系サラリーマンから専業農家へ…従来の農業手法に一石を投じた専業農家が書いた本。(アマゾンのブック紹介より)

 私は上記の本をどちらも読んでいません。(笑)批判も賛同もできないのですが、、、、。本当に農業は儲かるのでしょうか?長らく農村の片隅に住み、多くの農家・百姓を見て、農業らしきことで(本人は真剣ですが)食うて来た私には「信じられないお話」です。
 一番先の「農業で1000万円稼ぐ法」の著者は、北海道の野菜農家のようです。手の掛かる野菜を週2日で?、1000万円も稼げる?
次の方は、この世界(このような儲かる本の世界)では有名なようです。マーケティング、効率的、マニュアル化などと経済、経営の世界で持て囃されている言葉が並んでいます。私達のような古い農家は無能で、努力しなかったのでしょうか?言いたいことは沢山あります。
 本を出版して、一寸有名になり、優位に農作物を高く売り(農作物が良いとは言えません)儲ける。営業力と言われるものです。健康食品や化粧品に良くある手法です。長続きする方法でも、努力すれば誰でも平等に成功する方法ではないようです。上記の二人がそうだと断定はできません。私は本を読んでいませんから。(笑)
 「金融工学格付け会社、金融保険」と仰々しい言葉で厚化粧した金融バブルもはじけました。実態からかけ離れた「営業」はいつか破綻します。農業はストック経済です。三交代で働いても米は年に1回しか収穫できません、鶏は1日2個の卵を産みません。先日もブログに書きましたが、農作物の年間の販売額が700万円を超えるのは約1割の農家しかありません。