夏の卵 有精卵  

 平飼いで鶏を飼いますと、雌鶏だけですと「コッコ、コッコ、コケーコッコ」と鳴き止まず、うわさ話や陰湿ないじめなどでグループが落ち着きません。そこに雄、そうです男が入りますと不思議とグループに落ち着きが出ます。雄はグループの雌を守り、自分の縄張りに入り込んできた他の雄とは喧嘩をしますが雌を虐めません。雄は美味しい食べ物を見つけますと「コオッコォコ、コオッコォコ」とグループの雌を呼び寄せ、彼女たちに優先的に食べさせます。通常の食事の時も、雌が先に餌を食べます、雄は周りからの外敵を警戒して食事中の雌達を守ります。(「卵を産まない分だけ、お腹がすかない」とも言えます。)
 そうそう、今回は雄の鶏の「よいしょ」ではなく、夏の有精卵についてでした。
 特に拘っているわけでもないのですが、我が家の卵はほぼ100%有精卵です。上記に書いたように平飼い養鶏では雄がいますと落ち着きますし、有精卵は卵アレルギーの方のアレルギーが出にくいとの意見もあります。そのほか未だ究明されていない「有精卵」がもつ「生き物としての卵の力」があるようです。何よりも雄と雌の鶏一緒に住むのが私は自然に感じます。「男と女を別にするな」です。
 しかし気温の上がる夏の有精卵の保存には注意が必要です。有精卵を加温(38℃前後)すると、孵化が進み3日目くらいから黄身の上に血管が明確に認められるようになります。この事からも分かるように、有精卵を高温下に放置しておきますと、卵の品質劣化が起きやすいので注意が必要です。わずかな孵化が進む事により、卵黄幕が弱くなり黄身が崩れる事があり、これがクレームになります。消費者の立場に立てば、良い卵と信じて高い値段で購入した卵の黄身が流れるようでは、怒りたくなるのも理解できます。
そんな消費者からのクレームで困り有精卵を止める養鶏場も出てきています、夏場だけ雄を取り出す養鶏場も多いようです。でも私は有精卵に拘っていきたいです。
 我が家からは新鮮な卵をお送りいたします。それで皆様にお願いです。最高気温が20度を超すようになりましたら卵は冷蔵庫で保存して下さい。できるだけ早く冷蔵庫に入れて下さい。1年を通して冷蔵庫保存が良いと思います。卵は生きて呼吸をしていますので、肉などの冷蔵庫内の臭いを吸い込みます。その様な臭いに敏感な方は、パックに入れたまま卵を冷蔵庫で保存して下さい。卵は使う直前に冷蔵庫から出してお使い下さい。 このような事を守って頂ければ、夏でも有精卵を美味しくいただけると思います。