企業養鶏と反企業養鶏について(3)

 「自然卵養鶏、放し飼い養鶏、有機養鶏」等は、小羽数で企業的な面白みがないためか新規就農者等の養鶏未経験者が始めることが多いです。
 しかし鶏は野鳥ではありません。鶏は空も飛べませんし、人間が守ってやらない限り餌も見つけられません、カラスや狐などに食い殺される弱い生き物です。鶏の先祖は東南アジアに生息していた(今も少羽数ですが生息していると言われます)赤色野鶏と言われています。鶏は卵や肉を人間に提供して、人間は鶏を外敵から守る。その様な関係で鶏の種は残り、繁栄してきました。(人間の勝手な思い込みかも知れません)
 鶏は自然界では15−20羽程でグループを作ると言われています。小羽数養鶏とは言え15−20羽程を1グループとして自由に動ける空間を与え、経済的に成り立たせるのは至難のため、1グループを100−150羽程にする人が多いようです。ケージで飼う企業養鶏とは比べものにはなりませんが、幾ばくかのストレスは鶏にうまれます。
 それなりの空間に鶏を閉じこめたら、強い鶏は弱い鶏を虐め、弱い鶏はより弱い鶏を虐め、集団で弱い鶏を虐める。鶏の習性のようです。このような鶏のストレスを軽減するためにも養鶏家の技術と観察眼が問われます。
 基礎的な養鶏技術もないまま鶏を飼い「ほったらかし養鶏」をより自然だと言い、鶏の要求栄養価も、与える餌の栄養素も考えずに無思考のまま餌を与えるのは、高産卵に改善された現代の鶏には虐待に近い飼育方法です。鶏が卵を産まない(少ない)のを「自然な、鶏に優しい飼い方」等と言う、人間の口は便利なものです。
 鶏病についてそれなりに勉強もせずに「うちの鶏は自然に飼っているので、鳥インフルエンザニューカッスル(養鶏家に一番恐れられるウイルス性の病気です)に罹っても大丈夫」と意味不明な事を真面目な顔で言う方もいます。ここまできますと「養鶏教」と言う思い込みの宗教のようです。このような「養鶏教」の方は知らない強さを持つために一途に自分の卵を信じ、他人から見たら「誇大広告」と思えるような販売をする方が多く、どの世界にもあることでしょうが「奇跡」を信じたい人達には受け入れられます。
 しかし上記のような人達は少なく(養鶏に「奇跡」があるように消費者に信じさせる弊害は大きいですが)、多くの「自然卵養鶏、放し飼い養鶏、有機養鶏」の人達は真面目に頑張っていると思います。