企業の農業参入

企業の農業参入が道内で低調、3月末までに2社撤退
 企業の農業参入が道内で停滞している。市町村が定める区域内の農地を借り受け建設業などが多角化の一環として取り組んでいたが、収益改善が見込めないなどの理由で今年3月末までに2社が撤退。道内全体で引き続き農業に取り組む企業は9社にとどまる。
 「これじゃとても採算が合わない」。昨年6月に十勝管内陸別町で農業に参入した建設業の渡辺組。てん菜やカボチャを手がけたが、1年足らずで撤退に追い込まれた。同社は林業なども手掛けるが、同町によると「利益の比較で農業はとても割が合わないということだった」と明かす。
 檜山管内せたな町で2004年4月から酪農の飼料用に牧草などを栽培していたワタミ子会社のワタミファームは同町を介して借りた農地を年々縮小。3月末までに契約をすべて打ち切った。 (NIKKEI NET)

「農家は過保護に慣れすぎて、努力をしない。大切な農地を任せられない、日本の優秀な企業力で食料自給率アップ、地方企業の新たな収入源」と、農業への株式会社の参入を経団連農水省の強力なバックアップで2005年9月に解禁されました。
 地方の企業の未来は「農業にあり」(多くは土建業です。「道路などの公共予算削減の批判をかわす為では」と勘繰りたくなる解禁でした)と、新聞やテレビなどで株式会社の農業参入を好意的に取り上げ、農業への企業参入が地域経済や、食糧自給率の改善に寄与する様な無批判、無思考のニュースや新聞記事が目立ちました。
 しかし、企業の農業参入が思ったように進んでいないです。2010年度までに500社という目標は達成できそうにありません。そして上記のニュースのように、いったん農業に参入した企業が撤退を始めています。
 農家の私から見ますと「そんなの、当たり前。農業があまりにも儲からないから農業をやる人がいなくなり、農家に補助金をばらまいて何とか日本の農地の保全に努めてきたのが日本の農業の現実です。しかし農家の高齢化はどんどん進み、遊休農地が大量にでき、農業の衰退は停まりません」この日本の農業の現実部分を無視して、農業への企業参入を進めても無理があります。
 労働基準法などで縛られ、保健、退職金、賃金負担等の多い企業が農業で成功(利益を上げる)するには、現在頑張っている専業農家より多く儲けなくてはなりません。
 では現在の日本の専業農家は儲かっているか?殆どの専業農家では「最低賃金」に至っていないのが日本の農家の現状だと思います。
 これ以上ブツブツは言いませんが、落ち着いて考えれば「企業の農業への参入」の正否は自ずから分かるのではと思います。
 勿論、特別な才能や、技能、資金的余裕、努力ができる企業は農業でも成功すると思います。しかし、このような企業は本業に邁進した方が利益が多いでしょう。