(14)リウォンデ・サファリからデッザへ

 朝8時半、2泊のリウォンデ・サファリでの観光も終え、ボートでレンタカーの運転手が待つ河の対岸にわたります。
 車に荷物を積み込み、入り口にいた警察官に挨拶して国立自然公園を後にします。
 日本の夏を思い出させるように蒸し暑かったリウォンデ・サファリを後にして、今日はこれからレンタカーを北西に向けて走らせ、息子の任地のデッザへ向かって少しずつ標高を上がって行きます。
 デッザは首都のリロングウェから南西に70kmほど行った所にあり、モザンビークとの国境沿いの標高1600m程の所に開かれた小さな(人口1−2万人)町ですが、近隣の村々の行政の中心地です。
 リウォンデ・サファリの暑さで少し疲れていた私は、まだ見ぬ息子の任地デッサに期待を込めて密かに「マラウイの軽井沢」と呼んで、爽やかな気候を期待しています。
 デッサへ向かう道の途中、また多くの人達が道を歩く光景に出会います。
 道を歩く男性も、女性も肩に鍬をのせ手にバケツを持って談笑しながら道を歩いています。
 首都リロングウェには交通信号機も設置されて、少しずつ車が増えてきているようですが、まだまだこの国では車は高嶺の花です。
 農村では、バイクや自転車を持っている人も少ないようです。村から村を走る路線バスも殆ど当てにならなく「歩くことが」農村での移動の手段のようです。
 マラウイでは歩ける距離が、生活空間のようです。
 息子に、肩に鍬を乗せている人達について聞くと「近くの農園に働きに出ている農民だよ」と答えてくれました。
 マラウイでは、白人や一部の黒人が地主として優良な農地を広大に占有して、多くの農民は地主の農場で賃労働をしながら、僅かな農地を耕してぎりぎりの生活をしているのが現状のようです。