マラウイ旅行 (10)マンゴチのホテルで

 門の中は、今まで6時間にわたり私が見てきた赤土の景色とがらりと変わり、両側に綺麗なブーゲンビリアが咲き、その美しい景色が300mほど続き、終点は今日宿泊するマラウイ湖畔のホテルの受付になっています。
 マラウイ湖畔は標高500mほどで、首都のリロングエ市内と比べて700mほども標高が下がり、蒸し暑く感じられます。
 ホテルの部屋は空調設備が整っていましたが、殆ど効かず、日本の夏を思わせる蒸し暑さです。
 ホテルの部屋で風呂に入り(マラウイ湖から引いた水で濁っていました。旅行会社からは「マラウイ湖に住む吸血原虫に注意するために、マラウイ湖の水には20分以上浸かるな」と注意されていました。今朝の「蚊・マラリア」騒動で「もういいや、ここはアフリカ。郷に入れば郷に従え、つまらないことをグチグチ考えるのは止そう。それよりこの旅行を十分に楽しもう」と根性が座ってきました)、6時間余りにも車での旅行のホコリを落とし、その後ホテルの敷地内を散策に出かけます。
 ホテルの広大な敷地内はマラウイ湖から水を引き、散水され、美しい青い芝生、ブーゲンビリア等の南国の沢山の花々が咲き、猿、リスなどの小動物が自由に遊ぶ、作られた別天地です。
 ホテルの隣は、お金持ちがセスナで来られるように飛行場まで完備されていす。
 車で入ってきた大きな門まで歩いて行き、門の外に出ますと現地の人達が物売りに近づいてきます。手作りのチェス盤、木のネームプレート、小さな小物を、日本円で数十円から数千円ほどの金額で売っています。
 木で彫った高さ1mほどの木彫りのキリン、像、カバ等の精巧な置物が並べられています。それらの購入を勧められますが、日本に持って帰っても、我が家には飾る所もなく断りました。
 それらの置物は、日本では見たこともないような黒く光り輝く重々しい木で作られていて、木の材質に興味を持ち裏で作っている人の現場に近づいて見ましたら、黒墨を塗って木に黒い色を付けていました。
 ちょっと笑えて、記念にとネームプレートを購入しました。

 ホテルの従業員の教育は行き届いていて、私達のような外国人旅行者にとっては、ホテルの敷地内はマラウイの現実を忘れさせ、安全で快適に過ごせる空間です。
 美しいマラウイ湖を眺めながら、ホテルの冷えたビールを飲み、煙草吸い、息子とのひとときを楽しみます。
 ホテルでのビールは350mlで約170円。(お店で買いますとこの半額ほどです)煙草は南アフリカ製の最高級品、20本入りで約160円。
 ビールを1本飲みながら、煙草を1本吸いますと、現地の農家の2日分の平均収入が消えて行く計算になります。考えると気が滅入ります。
 「私は観光旅行中です、非日常なる日常の中にいる」と自分を納得させます。
 マラウイ湖畔に浮かぶボートは、私にボートによるマラウイ湖観光を勧めますが、砂浜はホテルのプライベートビーチです。
 彼らは砂浜に上がることは出来なく、湖上で声を張り上げて私を誘います。
 夕食は洋風のバイキング方式。当日は私達と、ドイツからの旅行者と思われる十数人の団体、そしてインド系の家族が泊まっていました。
 夕食を食べながらまたビールを飲み、地元の人達の素朴な踊りを鑑賞して、暮れ行くマラウイ湖畔のホテルでの宿泊を楽しみ過ごします。
 ここのホテルでの1泊の宿泊代金は、現地の校長先生の約2ヶ月分の給料と同じ約100ドルです。考えると頭がおかしくなるような話ばかりです。
ホテルのブーゲンビリアの道

ホテルの外にいた木彫り職人

ホテルのプライベートビーチ