(6)ヨハネスブルグ空港からリロングウェ空港3

 どんよりと曇り、肌寒かった早朝のヨハネスブルグの記憶を取り去るように、マラウイは快晴で、暖かい日差しが長旅で疲れた私を優しく迎えてくれました。
 しかし、成田、香港、ヨハネスブルグ、そしてリロングウェと飛行機の旅は20数時間にも及び、殆ど一睡も出来ず、中年から熟年に移りつつある私には肉体的に厳しい長旅でもありました。
 機内で隣に座っていた同行の方は「娘が空港まで迎えに来てくれているんです」と言っていました。我が家の息子からは何の連絡もなく、今日の空港での出会いは期待していませんが、明日からは共に観光旅行に出かけ予定です。明日は首都に私を迎えに来てくれるでしょう。私も気楽な旅です。
 日本の援助で作られたと言うリロングウェ空港は、今まで通過してきた華麗で大きな空港と違い、小さく簡素で国内線も少ないのか、私達が乗ってきた飛行機以外はプロペラ機が1機見えるだけです。
 私達の乗ってきた飛行機から2階建ての空港ビルまでは歩いても行ける距離でしたが、バスに乗せられて空港ビルへ行きます。
 入国審査は薄暗い空港ビル内の、日本ではもう見かけなくなった古い木の机の前で行われ、その後、機内に積み込んだ荷物を受け取ります。
 どこか日本の農民を思い出させる人の良さそうな税関職員は、その顔とは裏腹に職務に忠実で、息子への土産は興味深そうに一つ一つ眺め、私の荷物はスーツケースの隅々までくまなく調べます。
 この税関職員が私や日本人に悪意があったわけではなく、単に私が一番先に自分の荷物を見つけて、そのまま税関職員の検査を受けたために「日本人代表」として検査されたようです。
 その後の人達はスルーパスで税関を通して貰いました。
 息子へのお土産をいっぱい詰めた重いスーツケースを引き引き、空港の階段を下りて行きますと、迎えに来ているとは考えてもいなかった息子の顔を空港待合い所に見つけ、驚きと、安心感と、喜びから今までの長旅の疲れは一瞬に私の身体から消えて行きました。
今回のマラウイ旅行は「1年半ぶりに息子に会う」、「ジャカランタの花を見る」を私の楽しみと考え参加しました。
 そのジャカランタの紫の花を空港前で初めて見て、改めてアフリカ、マラウイに来たことを実感しました。
リロングウェ空港前のジャカランタの花