偽装に思うこと

 例えの話です。
 有名な料理人がテレビや雑誌などで我が家の卵を取り上げ、我が家の卵に今までの倍近くも注文が殺到したとします。
 さて我が家はそんな注文に応えられるのでしょうか?
盆が正月を連れてきたような賑やかさと共に私は夜も働いて、卵を一日に2個産むように鶏に頼み込み、言うことの聞かない鶏は脅し、あめ玉を見せて、、、。でも、我が家の鶏の産卵個数が増えることはありません。
 人間が三交代で24時間フルに働こうが、餌を(原料)大量に鶏に投与しても産卵数が増えることはありません。害が出て産卵が減ることはありますが。鶏は生き物で、機械ではありません。ここが農業と工業との大きな違いです。人間はお手伝いをするだけです。
 急に卵を増やすことは出来ません。廃鶏を遅らせて1割ほどの卵を増やすのが限度かと思います。
 注文に応えるために慌てて雛を導入して、育てて、その鶏が卵を産み出すまでには早くても半年が必要です。そしてその頃には今回のブームも去っています。
 養鶏農家の多くは最低賃金以下の収入と思われます。借金を抱えた養鶏家も多いと思われます。「天から降ってきたチャンス、逃がして成るか」、悪魔がささやく瞬間です。
 1・卵を他の養鶏場から購入して、混ぜて注文に応じる
 2・急遽、卵を産んでいる鶏を購入して注文に応じる 。偽装の始まりです。
 地鶏ならどうでしょうか?
 知事人気で宮崎の地鶏が物により2倍以上売れているようです。(全てではないと思います)
 孵化に3週間、育成に4−5ヶ月ですから、地鶏が肉として販売されるまでには約半年が必要です。地鶏の販売を倍に増やすには、地鶏の種卵から増やす必要があります。種鶏を増やして、卵を産み始めて、孵化して、育成して、、、。最低でも1年は必要です。
 鹿児島のデパートでブロイラーを宮崎地鶏として販売していたようです。起こるべき問題だと思いまあす。勿論、他の宮崎地鶏が偽装されているとは思いませんが、そして思いたくありません。
農業にはブームはありがた迷惑です。