比内地鶏偽装

 私の記憶にあるだけでも「不二家ミートホープ、中国食品、ウナギ、白い恋人名古屋コーチン赤福、そして比内地鶏」と今年これだけの食品、食材の偽装がばれ、白日の下にさらされました。
 そして、昔から言われている産地偽装米、無農薬野菜。
これだけ次から次と食品、食材の偽装が出てきますと「食品、食材は偽装されているのが当たり前」と言うイメージが社会に蔓延するのが怖い気持がします。
なぜ、こんなに食品、食材で偽装が起きるのでしょうか?
 「儲け主義、輸送冷凍技術の発展、食品業界の収益率の低さ、企業効率化の勘違い、もったいない、他産業に比べて従業員の低収入、慣例」などと色々な理由があり、それぞれの偽装を同列に一括りにすることは出来ません。
 食材である農作物は、工業製品のように技術革新や大量生産によるコストの低下が現れにくく、また特許による優位性も皆無に近い状態です。そしてそれを加工する食品業界も似たような状態にあります。
 流通業が巨大化して、食品、食材の販売価格の主導権が流通業に握られています。
 同業他社に比べて技術的に特別な優位勢ももてず、価格は流通業に決められる中小の食品会社は、知らず知らずのうちに偽装に走るのかも知れません。
 しかし 食べることは、命を頂き、命を育む事です。この大事なことをないがしろにして食品、食材の企業の存続はあり得ないことは肝に銘じておくべきです。
 
比内鶏」は古くから秋田県の北部、比内地方で飼育されてきたので、この名前がついたといわれています。純粋の日本地鶏で、昭和17年に国の天然記念物に指定されました。
 「比内鶏」は普通の鶏に比べて身体が小さく、肉用としては効率が悪く市販に向かないために、秋田県畜産試験場が「比内鶏」のオスとアメリカ原産の「ロードアイランドレッド」のメスとをかけ合わせ一代雑種を生産し、これに「秋田比内地鶏」という名称をつけ、現在市場に流通させています。
これが今回問題となっている「比内地鶏」です。
 私も昔、肉用のために「比内鶏」を飼っていました。私が飼っていた「比内鶏」は一代雑種が作られる前の、農家が細々と飼っていた「比内鶏」を繁殖した鶏で、シャモなどの血が混ざった雑種でした。
 アメリカ原産の「ロードアイランドレッド」の血が入っていないために、より純粋の「比内鶏」に近く、身体が小さく、卵も鶏のS卵ほどでした。
 シャモの血が混ざっていたためか喧噪性が強く、卵は小さく産卵数も少なく飼いにくい鶏でした。しかし肉の味、風味も大変に良く、煮こごりが出来る美味しい鶏でした。
我が家から「比内鶏」の肉を購入していた業者が、購入条件を変えたりするのに嫌気がさし、十数年前に飼うのを辞めました。懐かしい記憶です。
今回の偽装事件にめげず、秋田で真面目に比内地鶏を肥育している皆様(圧倒的に多数です。そう信じています)頑張ってください。