(3)香港空港発ヨハネスブルグ空港行2

 機内で「眠りにつこう」とする私の努力の時間も無駄に過ぎ、成田の空港で購入した本をバックから取り出し、読書灯を付けて読み始めます。
 「ゴーッ」と静かに唸る飛行機のエンジン音と、足下からの微かな揺れで眠ることも出来ず、本も読み疲れ、機内で座ったままの13時間はさすが永く、病上がりの私には体力的に持て余す時間です。
 読みかけの本をテーブルに置き、薄暗い中での読書で疲れた目を休めるために、ひょっと顔を斜め後ろに向けて機外を見ます。
 今まで漆黒の闇に包まれていた夜の世界が、私達の乗る飛行機を追いかける朝日の光で鮮やかに切りさかれ、茜色の太い横線で天と地が引き離され「新しい朝の誕生」の瞬間です。
 暗闇を茜色の光が切り開き、茜色の上で藍の青が天空に広がり「新しい空」が生まれ、時間と共に茜色の光が「新しい地球」を照らし出します。
 地球の自転は私達の飛行機より速く(地球の自転や、その早さを体感できることはそうありません)朝日が時速1000kmほどで飛んでいる私達の飛行機を追いかけ、後ろの闇が少しずつ朝の光により切り開かれ、地球の自転の早さが私達の乗る飛行機に追いつき、飛行機全体が朝日に包まれ、私は初めてのアフリカの朝を迎えす。
 暫くすると少しずつ飛行機は下降して行き、飛行機からマダガスカル島と思える島が見え、アフリカの海が見え、アフリカ大陸が見えてきました。

 現地時間6時50分、南アフリカ最大の都市ヨハネスブルグ空港着。空港はどんよりした雲に覆われた朝を迎えていました。
日本の花冷えを思わせる寒さと「私達は永遠に待たされるのでは」と不安になるほど要領の悪いヨハネスブルグ空港の職員との出会いが、私の初めてのアフリカ体験でした。  次の飛行機の乗り継ぎまで約3時間余り。空港の外に出られる時間でもなく、私はブラブラと目的のないまま空港内を探求します。免税店で帰りの土産を物色するには私の旅は始まったばかりです。
 喫茶店を見つけてコーヒーを飲み、煙草を吸い(煙草吸いのたまり場でした)、朝のヨハネスブルグ空港の一時をゆったりと過ごします。
工事中だったヨハネスブルグ空港

南アフリカの国鳥?鶴