21世紀の企業

 直接的には柏崎での中越沖地震の影響でしょうが、この夏はテレビやラジオで「節電にご協力ください」と東電は売り物の電気を「売り惜しみ」する宣伝を多く流していました。
 「たばこの吸いすぎに注意しましょう」とJTは、主力商品のたばこの消費を押さえるような宣伝を流します。
 「電気を使うな、たばこを吸うな」等と、企業が貴重なお金をかけて宣伝するのは(多くの人たちに知らせる)おかしな話です。もしかしたらこれが21世紀の宣伝の主流になるかも知れません。ちょっと期待します。
 「売らないための宣伝」は、今までの私たちの慣れ親しんだ常識的発想を転換させ、私たちの生き方や地球との関係を根本から変えるかも知れません。
通常宣伝は、「美味しいですよ」と、満腹で張り裂けそうな腹に我が社の食べ物を入れて貰うため、多くの電化製品で狭い部屋が足の踏み所もないのに「これは便利、魔法のように部屋が片づき、明日からあなたには快適な生活が約束されます」と新たな電化製品を売りつけるために、テレビやラジオ、新聞などの媒体を使い宣伝されます。
 現在も、多くの物に私たちは囲まれて生活しています。そんな大量生産、大量消費の20世紀型経済に、多くの日本人はメタボリック気味です。そんなメタボリックな日本人を、脅かし、煽て、格差の不安感をあおり、物を売るための宣伝が日々垂れ流されています。
 21世紀になり、地球が有限であることが再確認され、我々人類がこの地球の環境を悪化させていることが共通認識されました。痛み、やんでいる地球の上で、私たちは今までのように、物が売れないのを「不景気」と嘆き、不要な消費を刺激してゴミを増やす生活を選択するのか、できるだけ環境に負荷のかからない生き方(技術革新をしながら、生産と消費のエネルギーバランスがとれる生活)を選択して、次の時代にこの地球をより良い環境で残す選択するかを問われています。
 壊れにくい現代の日本の車は、消費者に長期の安全と安心を約束して「車を買い換えない。買い換える必要がない」と言う、新しい不景気を自動車産業に生み出しています。
 このような不景気を「良い方向」に変えていけないでしょうか。私たちの生活環境に、未来の子供たちの生活権を大切に考える「新しい経済学」が生み出されるのを切に期待しているのですが。
 「この車は壊れません、親子で長く乗り続けてください。万が一の修理はご購入の当店で責任を持って行います。この車の部品保証期間50年間です」
 「このテレビは30年保証をいたします。末永くご利用ください。またテレビは一家に1台、家族団欒の良きパートナーです」
 「ファースト・フードは貴方の命を確実に縮めます。食べ過ぎに注意しましょう。15歳以下厳禁」
 東電やJTの宣伝が、上記のような宣伝を増やすきっかけになれば「21世紀の環境も少し好転するのでは」と思いますが。

今日は「お月見」です。晴れたらいいですね。