低卵価の秘密 (中)

 「あなたもこの雄大な自然に抱かれて、農業をしませんか?」等と農業の一面のイメージでだけで新規就農者を詐欺的募集して、結果的に(多くは事前に予想できる結果です)農奴のような生活を強いることは常識ある役人は慎むべきです。
 そして新規就農希望者もなぜ農家が「先祖伝来の土地があり、それなりの技術も体力もあり、親類や友人の住む住み慣れた農村を諦め、離農するか」を真剣に考えてから就農するべきです。全ての農家が無能なのではなく、多くは農政が無能だと言うことを心して就農を決断してください。
 農政が変わらず、基本的農業収入、労働条件の改善のないまま、一時のひも付き補助金と、甘い言葉で若い都会の人間を農村に誘っても、「根付く」はずはありません。このような日本の農業政策を基本から見直さない限り日本の農業は安楽死に向かい、農村は崩壊していくと思います。農業の崩壊は「農村の崩壊」だけで終わらず、都会の首を絞めるはずです。
 ちょっと話が脱線してしまいました。今回は「低卵価」の話でした。(笑)
 卵価は、各地にある鶏卵荷受機関(鶏卵問屋、鶏卵市場)が、それぞれの市場の需給動向をみて発表する卵価を基準に取引されています。これが建前ですが現在、日本の卵の多くは養鶏場から直接スーパーで売られています。そのスーパーとの取引卵価を決めるために上記の鶏卵荷受機関が発表する卵価を基準しますが、それが「いかがわしい」と養鶏業者の間では噂が絶えません。
 日本の卵の流通総量に比べると、わずかな卵が鶏卵荷受機関の中心となる東京市場に出荷され、荷受会社(卵を購入する会社です)数社により「あ・うんの価格」で卵を競り落としていると噂です。
このような公の取引市場を公正に維持するためには、本来、多くの買い手と多くの売り手の参加が必要です。そしてそのどちらにも正確な情報が与えられ、企業の大小に関係なく自由市場に参加する全ての人たちが同じ条件で売買できる立場に立てることが前提です。市場のシェアを武器に価格を操作することは、自由市場の終わりを意味し、犯罪に等しい行為だと思います。