鶏の卵が産まれるまで 下

 鶏が年間に300個近くも卵を産んだら「卵の素(卵巣)が無くなるのでは?」とちょっと心配になりますが、そこは大丈夫のようです。
 鶏の卵巣は、肉眼で確認できる数は2千個ほど、顕微鏡では1万個ほどの卵を確認することができます。
 鶏の寿命は約10ー15年ほどと言われています。しかし鶏の経済動物としての寿命はケージで飼いで約1年半、我が家でも2年半から3年ほどです。鶏の産卵率は問題ないのですが、現代の鶏は産卵過多のため?卵質の悪化が早いです。
 鶏の寿命から考えますと「卵(卵黄)が無くなる」心配は無用のようです。
 小さな卵巣が7〜9日かけて次第に大きくなり、成熟すると(皆さんが見ている黄身と同じ大きさ)卵管へ排卵されます。卵管の入り口で待っていた?精子と一緒になり、その後、卵黄に卵白がくるまります。卵黄が排卵されてから3時間半ほどの出来事です。
 次に外側に1時間ほどの時間をかけて卵殻膜ができ、最後に18−22時間ほどをかけてゆっくりと石灰質の沈着により卵殻(カラ)が作られ、最後の30分ほどで色素(赤玉の色素です)沈着されます。
 その後クチクラ(卵の外側に塗られた膜です。この膜が卵内への細菌などの侵入を防ぐ役割をします)が分泌され、体外へ放卵されます。
 放卵(産卵)時間も鶏によりまちまちです。「バタバタバタ」と慌てて産卵箱に駆け込み「パッパッパ」と産卵して、なに食わぬ顔で産卵箱を出ていく慌て者の鶏もいます。
 産卵の小一時間も前から産卵箱に入り、周りの様子を観察して、産卵箱に敷かれている籾殻を卵を産みやすいように治し「ベッター」と産卵箱に伏せて、時間を十分にかけて慎重に産卵する鶏もいます。
 さてここで問題です。卵黄が卵管に落ちてから産卵されるまでに何時間かかるでしょうか?
 正解は24−26時間です、鶏により個体差はありますが最低でも24時間以上はかかります。鶏は1日に2個以上の卵は産めません。
 鶏の排卵は光線(太陽の光です)が大事な働きをしています。産卵(産卵後1時間以内に次の卵黄が排卵されると言われます)と光線の刺激により性ホルモンが刺激され次の卵の卵黄が排卵されるようです。毎日のことながらご苦労なことです。
 鶏は朝の6時頃から夕方の4時頃までに卵を産みます。夕方遅く産卵した鶏は翌日は休みます。休んだ翌日は早朝から卵を産み、少しずつ産卵時間が遅くなり休む(年齢と共にこの産卵時間のずれが広がり、休む回数が増えます)の繰り返しです。 鶏は夜、暗闇の中で卵を産むことはないです。