鶏の秘め事(上)

 「三歩あるけば忘れる」と散々な言われ方をする鶏ですが、鶏の記憶は「三歩、、」ほどひどくはありません。確かにあの小さな頭ですので「頭が良い」とは言いませんが、20羽ほどの仲間の顔は見分けることが出来ます。100mほど遠くまで散歩に出かけても自分の部屋を間違えずに帰ってきます。育雛時に経験したショック(水をあげるのを忘れて、喉の渇きを強烈に記憶した等です)は一生忘れないようですし、散歩に出かけても自分(鶏)に毒な草はけして食べません。
 卵を抱き雛が孵ったら、全身全霊をかけて雛を守ります。雛を育て守るときの母鶏の強さは感動物です。言葉という道具を持たない鶏は、知識は人間と比べ物にならないほどお粗末ですが、生きる知恵は現代の人間より優れているかも知れません。
 そんな鶏達の子孫を残すための「秘め事」は毎日夕方の3ー5時頃が盛んです。勿論、鶏には「電気を消して暗いところで」等と言う恥じらいや照れはないようです。太陽の下で、生き物として堂々と「明るい交尾」に励みます。
 交尾時間の夕方の3−5時頃は雌鶏もその日の産卵が終わり、餌も食べ終わり、鶏達が一番くつろげる時間帯です。
 鶏の秘め事を「ルールも無く、毎日毎日好き勝手な相手と思いつきで関係を結んでいる」と勘ぐるのは鶏への屈辱です。今終わった交尾を忘れるほど鶏はお馬鹿ではありません。彼氏(雄鶏)の顔の見分けも付き、乱交に走ることもありません。「援助交際」等と言う、金と肉体(愛情)をお金で取引する不純な交際もありません。案外人間様より貞操観念がしっかりしているかも知れません。勿論例外もありますが(笑)。そんな鶏の「秘め事」について書いてみます。