苦情・クレーム

今日(5日)、お客さんから卵についての苦情の電話でありました。我が家の卵を購入した方から間接的に卵を頂いた東京の方からでした。
 電話から聞こえてくる声の年齢は70歳を超えているかと思われ女性の方から「私どもは食べ物にこだわっており、卵も良い物しか食べておりません。お宅の卵を知人から茨城の美味しい卵ですと頂きました。喜んで生卵として朝ご飯にかけていただきましたら、卵の黄身の色は薄い、白身は混ざらない、卵の味はない、お宅様の卵は最低の卵です。こんなに不味い卵は初めてです。赤い殻の卵の黄身は赤いはずです、こんなクリームのような薄い色で、お宅様は鶏をどの様な飼い方をされているのでしょうか?」と怒り心頭の電話です。
お客さんに「ひどい卵、でもしかたない」と諦められるより、電話で苦情を言われた方が我が家としてはその後の反省、改善に繋がるために嬉しいのです。しかし失礼ながら、ここまで「ちんぷん、かんぷん」なことを言われますと、私もどこから説明したら良いのか一瞬とまどいました。勿論お客さんが悪いのではありません、経営、利益のために情報を操作する企業養鶏に問題があります。
 赤い殻の卵の黄身は赤いのでなく、配合飼料に入っている着色料の赤色が黄身に移行する話から始めました。「え、着色料?癌は大丈夫ですか?」と驚かれます。着色料の安全性についてお話しますと「安全なら、なぜお宅で使わないのですか?黄身は赤い色の方が美味しそうでしょう」と切り返され、次は我が家で着色料をなぜ使わないかの説明です。
白身について説明して、お客さんに「味覚音痴」とも言えませんので丁寧に卵の味について説明しますが、なかなか納得して頂けません。一度刷り込まれた思いこみは簡単には変わらないようです。
私の心の中では「ええい、味音痴。金返すから、我が家の卵を返してくれ」と思いますが、それを言ったらお終いです。私は卵のプロです、かみ砕くようにして説明を繰り返します。3回ほど説明を繰り返しましたら少し納得して頂き、最後に「赤い黄身の卵と、残っている我が家の黄身を割り箸でなめ比べてみて下さい。味の違いがお分かりかと思います」と少々厳しいお話をして、電話を終わりました。疲れました。
 私にもあることですが、思いこみは怖いです。今回のお客さんは「赤い黄身の卵で、黄身の味が少々えぐい味が最高の卵」と思い、高い金を出して買い続けていたようです。
「買う人の自己責任」を問うのは簡単ですが、私たちは沢山の情報と物に囲まれています。それらを正確に取捨選択出来る人はまれだと思います。また情報は質より、量が力を得ることが多いです。グローバル化も良いですが、『地産地消』生産者と消費者がもう少し歩み寄れる社会を求めます。