米の偽装

「ブランド米偽装容疑の社長逮捕」こんな記事が朝日新聞に載っていました。
大阪の米穀卸会社が18年間にわたり規格外米、産地偽装米、生産年偽装米を混ぜて「ブランド米」として販売していた容疑で逮捕されました。
 命に関わると言うと大げさですが、米は命を育む大切な食べ物です。その点に思い至らなかったのでしょうか?
 日本人の米の消費は年間60kgほどです。農家から良いお米を直接購入して、その価格が10kgで5000円としても、年間3万円ほどで日本人の主食が美味しく食べられます。美味しいお米はおかずを一品減らすことが出来るほど、ご飯の味を楽しめます。そのご飯の香りで朝が楽しくなるものです。
ただ今回のニュースが氷山の一角のように思えるのは私だけでしょうか。米の取引価格を考えますと、「えっ」と驚くほど安い価格で米を販売しているお店を見かけることがあります。どの様な絡繰りになっているのか知りませんが、偽装米の噂は良く聞き、「茨城のコシヒカリは新潟のコシヒカリに日本で一番化ける」等という笑えない話もあるほどです。 
 「売り物に自負」等と言いますと少々堅苦しく大げさになりますが、売り物に惚れることが商人の基本だと思います。「生産した農家の苦労に心を馳せ、米を食べる消費者の笑顔を思う」そんな商人、日本人が少なくなったのかも知れません。
 米に限らない話ですが、食べ物の世界は魑魅魍魎の世界です。卸売り業者だけでなく生産する農家も、加工する企業も他の産業に比べて規模は小さく、人的、時間的、金銭的余裕が無く、コンプライアンスなどに思い至らないようです。
 「命を繋ぐ食べ物」この大切な思いを、消費者と生産者が顔を向き合わせて真剣にお互いを思いやり、話し合える場が欲しいものです。