拝啓、廃鶏日です。

タイトルには何の意味もありません、つまらないおじさんギャグです。
菜種梅雨がダラダラ続き、冬を思い出すような寒い日が続いています。
 今日はやっと晴れ。廃鶏を150羽ほど出荷しました。
 鶏は生まれてから5ヶ月程で卵を産み始め、約1年ほど産み続けますと卵が大きくなり卵殻が悪くなります。新鮮な卵でも白身が流れやすくなり、卵の味や産卵率はあまり問題はないですが、販売率(要するにお客さんに敬遠される卵の割合です)が極端に悪くなります。そこで鶏に1−2週間(季節により変わります)断食してもらうと(このことを業界用語で『強制換羽』と言います)鶏の羽が抜け落ち、その後の給餌と共に羽が生え替わり、鶏は若々しくなります。2ヶ月程経ちますと若鶏の卵の様に殻のしっかりした卵を産み始めます。しかしその様な若返りも7−8ヶ月しか続きません。勿論また『強制換羽』をすることが出来ますが、若返る期間はだんだん短くなります。我が家は1回の『強制換羽』で廃鶏にします。雛として産まれ、我が家にきてから約2年半程の付き合いです。約2年ほど卵を産み、我が家のために尽くしてくれた鶏達を「廃鶏」と呼ぶのは気が引けますが、「リストラ鶏」「旅立ち鶏」等と意味が通じにくい呼び方に変えても(このような言い換えは特に役人言葉に多いように思います)「鶏の首をはねて、肉にして、私たちが美味しくいただく」ことには変わりがありません。10−20羽の鶏なら家で肉にしても良いのですが、150羽程になりますと、施設の完備した業者にお願いした方が早く、食肉の出来も綺麗です。また鶏肉は肉の中では足の速い(腐敗が早い)肉です、衛生面でも業者にお願いした方が良いです。
 鶏の寿命は約10年程と言われます、経済動物とは言え2年半で食肉にするのは気が引けますが、肉は食べると大変美味しいです。我が家の鶏の肉はまだまだ柔らかく(比較の問題です、産まれて1ヶ月半から2ヶ月で食肉にするブロイラーと比べたら大変堅いです)味は「地鶏」と呼ばれる鶏より美味しいと言う自負があります。我が家が鶏を持ち込む食肉解体業者は「一番美味しい」と言い自家用に食べています。
 食肉解体業者のプロになりますと、その鶏の内臓を(ウインドレスなどの鶏舎で飼われた鶏は、ストレスのためか内臓が全体がくすんだ色をしていて、内臓それぞれは今にも崩れそうな不安定な形をしています)見ればその鶏の肉の善し悪しが分かるようです。
 世間ではグルメブームなのか「地鶏」がテレビに取り上げられることが多くなり、お店はテレビカメラの前でうんちくを並べますが(にわとり屋から見ますと失笑してしまいそうな事が多いです)、肉の味の善し悪しは、食べさせる餌、飼い方、鶏種、食肉にする鶏齢等で決まります。特に食べさせる餌と飼い方は大切だと思います。