尊い顔

脂肪を吸引して、たるんだ皺を伸ばし、骨を削り、ヒアルロンサンを注入て、原形を止めないほど整形された顔に最後の仕上げに高級化粧品を塗り「60歳なのに40歳に見られる」とはしゃぐ。アンチエイジングと言いますか若返りと言いますか「実年齢より若く見られる」ことに命をかける方が増えているようです。
 「60歳なのに40歳に見られる」は、一部は40歳のように誤魔化せると言うことで40歳に若返ることではありません。「実年齢より若く見られる」と言うことは正しく、大切なことなのでしょうか?若さを絶対的な「善」の物差しと考えますと、悲しいことですが「60歳なのに40歳に見られる」より40歳が正しいことになります。一部包装紙を取っ替え引っ換えしているうちに、肝心な中身が腐らないことを祈りたいと思います。
 その様な異様な若返りとは縁のない尊い顔が農村にはあります。戦前から農作業と共に生きてきた百姓は、長い肉体的苦痛と経済的な苦難の中で作られた尊い顔をしている人が多いです。底の浅い「農業の損得」の計算を覚えた私たち世代ではたどり着けない「自然に選ばれた顔」です。

80歳を過ぎても、元気に農作業をする隣のおばあさん。(昨年秋の写真)若い人達はデスクワークをして、80歳を過ぎた老人達が日本の農業を支えています。おかしな世の中です。