秋の夜長の酒

 私は酒を飲みます。病気になってからは、身体を虐めるかのような「がぶ飲み」とは縁遠くなり、自分の身体を労りながら1合ほどの酒を毎日嗜みます。
昔は百姓の特権と思い、要するに「ミーハー」なのです。理由を後付けしながら「何でも自分でやってみたい」と、自分で濁酒、三段仕込みの清酒、ワイン、スパーキング・ワイン、そして焼酎と手当たり次第に酒を造り、自分で造った酒を飲むことを楽しみ(自慢)にしていた時期もありました。
 時間と共にそれらの遊びにも飽きが来て(それぞれに理由がありますが。濁酒は毎日では飽きが来ます、清酒は時間と手間がかかり、ワイン専用の葡萄の木が枯れてワイン作りから遠のき、焼酎はあまり美味しくできなかった等です)、今は酒を飲むことを楽しんでいます。要するに純粋なる酒飲みに戻ったわけです。
 私は日本酒を基本として、7,8月の暑い日はビールを飲み、9月のこの季節は大分の友人から送られる「かぼす」を絞り、焼酎を楽しみます。
残暑の残る秋の夜、妻の目を気にしながら氷を入れたグラスに焼酎を溢れんばかりにそそぎ、肌寒い秋の夜は焼酎を少ないお湯で割り、かぼすを1個絞り焼酎にそそぎ「秋の香り」を楽しみます。「焼酎の量が多い」「いやいや、お湯が多すぎた」とたわいのない会話が夫婦の秋の夜の時間つぶしです。
今年も大分から送られてきた「かぼす」